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story59. ページ11

肌寒いどころではない部族の風。

足を取られて動きにくい氷と雪の大地。

私という元仲間の裏切り。


これでカムイ様の軍は少なからずダメージを受ける

少しでも我が部族を有利にしておかなければ。

族長として、誰一人死なせたくはないから。


「…お嬢様。いえ、フローラ様」

「どうしたの?」

「本当に良いのですか。フェリシアお嬢様まで…」


不安そうな表情で、私のそばにいた魔導兵が声をかけてきた。

その体が少し震えている。

魔導兵…ソーサラーは極度の薄着だ。

しかし震えの理由はそんなものではなく、もちろん戦に対する恐怖。

フェリシアを殺すことへの。


「…あの子は…白夜に染まりきってしまった。部族の誇りを捨てた身勝手な子」


暗器に映る自分の顔を眺めて、少し笑った。

なんて酷い顔をしているのだろうか。

気づかなかった。

泣き跡はなくとも、瞳が…死んだよう。


「情けを…かけてはだめよ」

「はい…」


魔導兵はやはりこちらを不安げに見つめて、それから前を向いた。

彼の周りの空気が変わる。

意を決めたような、広く格好の良い背中。

……あの頃の、父のような。


「……」


私がしっかりしておかなければ。

父を追いかけて。

もっと…強く。


「フローラ様!白夜軍、中央まで進軍中です!」

「…!…ずいぶんとはやいのね」

「それが、奴ら予想以上に強者で…特に王族達が破格の強さだそうです」

「…対策を練るしかな…」


そう言いかけた時、大地が大きく揺れた。

足元から地上へと何かが湧き上がるように、大きな地響きをたてて。


「な、なに!?」

「…!!大変です…湖が、凍っています…!!」

「そんな…一体なにが…」


私が滑ってきたあの湖はもうどこにも存在せず、ただ一面に氷が張るだけ。

人の為せる技ではない。

しかし…それができる人がいた。


「カムイ様…」

「え?」


カムイ様。リョウマ王子。ヒノカ王女。アクア王女。タクミ王子。サクラ王女。

白夜の王族なら…。強い力をもつ竜の末裔ならできることのはず。

それは暗夜の王族も同じだが、ここにはいない。


「…!来たわ。皆、体制を整えて…死なないで!」

「承知しました!」


凍った湖の上を超えて、白夜軍が攻めてくる。

配置についた兵達が次々に相手にしている中、



私は銀髪の男の相手をした。

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すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» ありがとうございます!というか私シリアスしか書けないやっぱ… (2017年1月4日 1時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» ほんと切ない。けどシリアス大好物の私にとってはめちゃめちゃ美味しい展開ですw 更新頑張って下さい! (2017年1月3日 23時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» 私も幸せにしてあげたい…。だけど今の売りは「切ない」なんだ。我慢してね〜フローラ?「…凍てつきなさい、作者!」 (2017年1月3日 23時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» 切ない…ジョフロ…切ない…流石です、ただただ切ない…。 (2017年1月3日 22時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - あっぷるぱい猫系女子さん» ほんとやっとですよー。さて、フローラはこの後悔をどうするのでしょうか? (2017年1月3日 21時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年11月22日 15時

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