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story50. ページ2

「えっと…ね、姉さん」

「置き手紙のこと…許していないわ」

「あっ…。はうう…」


言い切れば、またカムイ様の後ろに隠れようとするので、次の言葉をかける。


「…心配させないでちょうだい」

「え…?」


フェリシアが拍子抜けした声を出す。

怒られるとでも思っていたのだろう。

私は優しく、けれど距離感は保ったまま微笑む。


「あなたが主人を思いやる気持ちは良いの。だけどもうあんなことはやめて」

「は、はい。ごめんなさい…姉さん」


フェリシアが謝って、後ろへ下がれば今度はカムイ様が前へ出る。


「せっかく会ったんです。フローラさん、あなたも私たちと一緒に…」

「いいえ。それはできません。私までそちらにつけば、ガロン王様の処罰が下るでしょう」


もう…下ってしまったけれど。


「そう…ですか。すみません」

「いえ。ところでカムイ様たちは何故こちらに?」

「あ、そうでした!実は弟のタクミさんが…!」

「…タクミ王子が?」


カムイ様が後ろを振り返るとサクラ王女が王子に肩を貸しながら歩いて来た。


「…どうされたのです」

「実は、風土病にかかってしまって危険なんです。だからここの薬剤を求めてきました」

「…それなら私が協力いたしましょう。薬剤管理を任されておりますので」

「あ、ありがとうございます!」


カムイ様はタクミ王子に必死に呼びかけて、意識を保たせようとする。

しかし、様子を見るにほぼ限界だ。


「とりあえず、ここから移動しましょう。他のものに見られてはまずいですから」

「そうですね。皆さん、行きましょう」


誰もいないのを悟られないように、そう告げる。

この宮殿の通路や庭は開けていて、人目のつきやすいところばかり。

できる限り人の少ない道を通っているように見せかけて…。


「おや…フローラ。何をしているのでしょう」

「…!!マクベスさん!」

「……」


来た。

カムイ様は下げていた剣をまた振り上げ、まっすぐとマクベスに向ける。

その様子を見てマクベスは嘲笑った。


「なんと…裏切り者のカムイ様までいらっしゃるではないですか」

「…わ、私たちは…」

「あなたには関係ないことです」


演技通りに。しかし彼の態度が癇に障り、少し強めの口調でそう言うと、

彼もそれに気がついたのか、こちらを睨んで魔導書を開いた。

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すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» ありがとうございます!というか私シリアスしか書けないやっぱ… (2017年1月4日 1時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» ほんと切ない。けどシリアス大好物の私にとってはめちゃめちゃ美味しい展開ですw 更新頑張って下さい! (2017年1月3日 23時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» 私も幸せにしてあげたい…。だけど今の売りは「切ない」なんだ。我慢してね〜フローラ?「…凍てつきなさい、作者!」 (2017年1月3日 23時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» 切ない…ジョフロ…切ない…流石です、ただただ切ない…。 (2017年1月3日 22時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - あっぷるぱい猫系女子さん» ほんとやっとですよー。さて、フローラはこの後悔をどうするのでしょうか? (2017年1月3日 21時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年11月22日 15時

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