第八話 視線の先 ページ8
吉沢side
｢Aちゃんはああ言ってたけど、実際どうなの？｣
衣装着替えの為にこの場を離れた女子二人組のうちの一人であるAちゃんの背中を何気なしに眺めていた。
環奈ちゃんより少し高い身長はヒールを履いているせいなのか実際に高いのかは不明だ。
そんな思惑をしていたときにかかった言葉は先程とは違い純粋な声色だった。
彼女から小栗さんに視線を滑らせると菅田さんも俺を見ていた。
｢本当に何も無いですよ。事務所の先輩後輩です｣
｢ほんまに？｣
｢ほんとです｣
真剣に聞く二人に、頭の中で疑問符を浮かべながら答えると何故か不思議そうな顔をされる。
｢じゃあAちゃんのことどう思ってんの？｣
｢うーん……｣
どう思ってるのか、なんて聞かれたのは初めてで直ぐに答えが出てこない。
普段のAちゃんとの関係を思い出すと、ストレスのこともあって気にかけているのは自分でも自覚はしている。
雑誌の撮影の時にはスっとその世界に入っていくAちゃんを純粋にすごいと思ったし、自分でもあの時の撮影は何かやりやすい所があったことも覚えている。
｢なに？何の話してんの？｣
｢柳楽くん、勘九郎さん！遅くない？｣
｢いや〜ちょっとそこで話してて｣
手を頭の後ろに添えて申し訳なさそうに話す中村勘九郎さんが俺と小栗さんと菅田さんを交互に見て言う。
｢白雪役のAちゃんのことをね｣
｢ああ〜。確か新人の子でしょ？ここ2年くらい雑誌のモデルしてる子｣
｢俺も雑誌で見たことあるけどあの子ドラマとか出てたっけ？｣
｢いや、出てないっすよ。Aちゃんはドラマも映画もないです｣
柳楽さんの発言に俺が応えるとみんな一様に驚いた顔をした。
｢は！？エキストラも？｣
｢ないですね｣
｢よく福田監督が出演決めたな〜｣
確かに演技練習はしているとはいえ実際に場数0の女優の卵ともいえる状態の人間を人気キャラに抜擢するのは普通はありえない。
Aちゃんはエキストラや、あっても一言も台詞のみ、という所謂下積み中の女優ということだ。
一歩間違えれば作品の出来を壊しかねない。
それでも福田監督に話を持って行って正解だと俺は思った。
｢俺が推薦したんです｣
｢へぇ〜。お前が誰かの為に動くの珍しいね｣
またもや揶揄うような視線。
けれども自分でも珍しいことだとは自覚はしている。
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スイ(プロフ) - 茉綾さん» ご指摘ありがとうございます！私も見直したら行間隔あけた方が読みやすかったので、これからは開けていこうと思います。思うところがあれば、これからもコメントして貰えると助かります。更新頑張ります！ (2019年9月2日 7時) (
レス) id: da575b137c (このIDを非表示/違反報告)
茉綾 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読みました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
茉綾 - まだ早いですがこんにちは(*^^*) いきなりすみません...。 物語読んでいて思ったのですが...。 台詞の行間隔あけてはどうでしょうか？ ちゃんと行間隔があいている所は読みやすい のですが...。 そうじゃない所は読みにくくて...。 いきなりでなんかすみません...。 (2019年8月28日 11時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スイ | 作成日時：2019年8月7日 23時
