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「あのさ、」

「なんだい?」

「私、夏油に言ってなかったことがあって」

「うん?」










ひどく穏やかな空気。

できることなら、このまま時が止まってしまえばいいのに、なんて。

柄にもなくそんなことを願った。











「私、夏油のこと好きだったんだよ」










目を伏せて、告げた。

長く長く、積もってしまった思いを。





彼はわずかに目を見開いて、どこまでも柔らかく笑って。











「奇遇だな、私もだよ」










切なげに瞳を揺らした。











「……、うん。そっか、」

「驚いたよ、まさか君がそんな風に思ってくれていたなんて」











大人びた表情に、垣間見えるどこか照れくさそうな笑顔。

夏油が笑ってくれるだけで、嬉しいはずなのに。

どうにも辛くて、虚しくて。














「……夏油、」

「うん?」

「なんで、置いていったの?」










夏油が一人で行くことを選ぶほど。

私たちは、……私は。






頼りなかった?

信用できなかった?

離れることは、寂しくなかった?








長い年月と共に、言葉にできない思いが募ってしまった。





聞きたくても聞けない。

誰に言うでもない問いだけが増えた。

いつも残るのは後悔ばかりで、何も出来なかった自責の念が溜まりに溜まって。













「……連れてはいけないだろう?」

「でも、」

「……連れては、いけなかったよ。」

「……うん、」










彼の目に、何も言えなくなった。






分かっていた。

夏油はずっと、苦しかったのだと。












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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑 , 短編   
作品ジャンル:アニメ
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日向(プロフ) - ひさん» わああもったいないお言葉ばかり…!!とても嬉しいです!そんな風に言っていただけると、描いてよかったなと思えます。素敵なコメント、大切にします!ありがとうございます! (2022年1月26日 22時) (レス) id: 67ceeec321 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 甘雫さん» 思いが一致したという言葉、とても嬉しいです!素晴らしいなんて言っていただけて、本当に光栄です。こちらこそ、嬉しすぎるコメントありがとうございます…! (2022年1月26日 22時) (レス) id: 67ceeec321 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - たろ。さん» わああめちゃくちゃ嬉しいです…!読んでいただくだけでなくコメントまで、本当にありがとうございます! (2022年1月26日 22時) (レス) id: 67ceeec321 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 泣きました、、自分的にキャラに合ったセリフで特徴?捉えてて共感してすごいな✨て思ったし読みやすくて話が綺麗だし、とにかくめちゃ良かったです…✨素敵な小説ありがとうございました!完結お疲れ様でした✨ (2022年1月25日 23時) (レス) id: 858c606167 (このIDを非表示/違反報告)
甘雫(プロフ) - 映画は場面の転換が早く、感傷に浸る暇もなく泣くにも泣けませんでした。しかし、作者様の夏油傑に対する思いが私の思いと一致し、今泣けました。素晴らしい作品をありがとうございました。 (2022年1月23日 18時) (レス) id: fa6ec39255 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:日向 | 作成日時:2022年1月18日 1時

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