幼馴染だから仕方ない (ページ13)

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歌声ページ13

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気持ちの良い風が吹く
流れる川の様に軽い動作で、Aの隣を通り過ぎた

「〜〜♪〜♪〜〜〜〜♪……」

どこからともなく、心地良い声が聞こえる
それに釣られてAも鼻歌を歌った

『〜♪〜〜♪〜〜〜♪』

オオタチ「タチ……？」

『貴方は…』

メロエッタ「メロロ〜♪」

幻のポケモン、メロエッタ
何故Aの前に現れたのか
幻のポケモンがそんなに気安く姿を現して良いのか
聞きたいことは山程あった

優しい風に吹かれるその姿は美しい
ただAを見つめるその瞳は誰にも真似出来ない

そんな綺麗なポケモンが私の前に現れていい訳が無かった

しかし本人は気にせずにAから目を逸らさない

『…………私、気付いてたの』

メロエッタ「メロ〜〜？♪」

無言の圧力というか、Aは無意識に口を開いていた

『スグリが私を好きだって知ってた…』

『でもスグリには、ずっと憧れの眼を向けてて欲しくて…私以外を追いかけて欲しくなくて…』

『スグリには追いつかせない、ずっと永遠に
私はスグリを突き離す。』

オオタチ「オタチッ…」

メロエッタ「メロ…♪」

メロエッタはこの場から全く去ろうとせず
Aの隣で歌を歌い続けている

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あれから数時間、辺りの日は落ちて吹く風が冷えて来た頃メロエッタが「待っていた」と言わんばかりに
「いにしえのうた」を歌った

歌い終わると同時にメロエッタは「ステップフォルム」へ
変化し、Aの手を引こうとする

『え？なに…』

Aは困惑したが、思いのほか強い力になす術がなかった

メロエッタ「メ〜ロロッ♪」

されるがままにして付いて行くとその先には
アオイやハルト…スグリまで。Aを探している様子。

ずっと監視を続けて来たAはすぐに気付いた
スグリはまたなにか変化を要したらしく
その目に輝きを取り戻していた

──ああ、羨ましい。良い友達に恵まれて
間違っていた自分を見直す事ができ、大きく成長している
Aはそう思った

全部、自分には出来ないことだ
必要のない者はポケモン以外にも全て蹴り
自分のやり方が正しいと信じて疑うことが出来ない。

勇気が欲しい

Aはふと、心の中で欲を出した

その感情を読み取ったかのようにメロエッタが背中を押す
思わずAはメロエッタに視線を向け
それにメロエッタは優しく頷いた

初めて安心感を憶えたAは
自然に微笑んでみんなの前へ向かった