第三十六訓、世界がどう変わるとか知ったことじゃない ページ36
「……まあ、世界が壊れる瞬間は見てみたいですよね。できれば当事者側の視点で」
少し悩んで答える。嘘は言ってない。最初この人が世界ぶっ壊すって言った時一種の感動を覚えたもの。新世界の神になれそうだし。
この世界ではまだ少ししか過ごしてないし1ミリも世界情勢とか知らないし政府の方針にとやかく言う気もないけど、ただ単にこの高杉晋助という男の欲望が叶って欲しいと思った。私も随分頭がお逝きになってるのかもしれない。
そんな感じで口には出せないオタク特有のクソデカ感情をさらけ出すが、相手は何も言わないし動かない。石化したか?(してない)
な、何か言ってくれよ。限界オタクとはいえ私も人間なので延々とクソデカ感情並べることはできない。あと普通に沈黙が辛い。
「し、晋助様…?」
美女__もうまた子ちゃんでいいや、また子ちゃんが心配そうに近づく。いいぞその調子だお宅の総督を我に帰らせてくれ。
「あァ……テメェだったのか」
ふとシンスケサマは思い出したように言った。エッ何が?まさかまた子ちゃんを突発性記憶喪失で忘れ……てないよな。明らかにこっち見て言ったもんなこの人。
私ここに来てからあなたと会ってませんけど!!資料越しにしか!!!屯所でのバイトで熟読してた記憶。でもそこにご本人様はいなかったので実質これが初エンカウントですどきどきするね!!!
「おい、名前は」
「え、Aデスケド」
「A、着いてこい」
そう言うや否やさっさと歩き出す。え、え……??
縋るようにまた子ちゃんを見るが、彼女は呆然としている。びっくりしてるなあ(他人事)。
私の目線に気づいたのかはっとなり、慌てて高杉さんを追うようにジェスチャーで指示をする。アッ行けばいいんですねハイ。
大人しく着いていくことにした。どこ行くの?例の船??
そわそわしてしまうので気持ちを紛らわせるためにまた子ちゃんに話しかける。
「君の名前は?」
クソウゼェな私!!知ってた!!!
「……来島また子っス」
「そっか。また子ちゃん、よろしくね!」
「願い下げっスよ」
ッハァーーーかわいいな!!これがツンデレってやつかな!!?(ドアホ)
文字に起こすのも面倒になるレベルの超つまらん話を繰り広げる。あまりうるさくしたら晋助様に怒られちゃうかもしれないからね。今私のコミュ力カンストしてる。そして律儀に返事を返してくれるまた子ちゃんかわいい。
……船遠くない???
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作者名:杉元 | 作成日時:2021年4月3日 22時