第二十七訓、夢だけど夢じゃなかった ページ27
起きた。
起きたのか?なんだかずっと立ちっぱなしだったような気がする。なんとも言えない不思議な感覚だ。そもそも私は気を失っていたのだろうか。
誰かに聞こうとしたが、周りには誰もいなかった。それどころか…どこだここ。
何故か私は川縁に立っていた。どこだここ(2回目)。
……いや、なんか見覚えあるぞ。確かこっちの方に行けば…あった!ばっちゃんが仕掛けた罠(魚用)!!
アレ、じゃあ元の世界に戻ってきたってこと?でも私車に轢かれてたしなあ。多分もう死んじゃってるしなあ。じゃあ夢?
夢小説のご都合主義で夢の中でだけ元の世界に帰れるとか。ありえそう。
では友達とか家族とかには会えるのだろうか。人全くいないけど。……ド田舎はこれが当たり前だった。
仕方が無いので私の家があるであろう方向に進む。さすがに家なら誰かしらいるだろう。なんなら私の仏壇とか置いてそう。不謹慎。
しばらく歩くと人影が見えてきた。第1村人発見じゃん!小走りで近づく。あれ私の友じゃね?
声をかけるか否かで迷っていると、おもむろに友が立ち上がった。そのままこちらに向かって歩いてくる。……誰だ隣の男。
まさか友、彼ピッピできたのか!?そんな素振り全く見せなかっただろうに!というかお前、「男が私と絡もうとするならその時間を他の男とイチャつくのに使って欲しい」とか言うやつだろう。
しかし、目の前の友は楽しそうにおしゃべりをしており、頬はうっすら朱色に染まっていた。馬鹿だなあ。
そんな顔していたら、誰だって気づいちゃうだろうが。
友は私に気づく様子もなく去っていった。もちろん隣の男も私に気づいちゃいない。むしろ私を通り抜けた感じ。なんだこれ、私透けてんの?
手のひらを太陽に透かしてみても真っ赤に流れる僕の血潮しか見られない。うーん、幽霊にでもなっちゃったのかな。
考えても仕方ないので愛しき我が家に向かう。いっこうに目覚める気配がしないので自分の仏壇に手を合わせておこう。
しばらく歩き進めるが、先程の友と男以外誰もいない。こんなに人って通らないモンだっけ?だめだ、記憶力に疑いがかけられてしまう。
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作者名:杉元 | 作成日時:2021年4月3日 22時