第二十二訓、知らぬが仏 ページ22
「あれ、屯所ってそっちでしたっけ」
帰り道、沖田さんが覚えのない道へ曲がっていこうとするので声をかける。方向音痴とかではないので屯所までの道のりは覚えているつもりだ。
え?昨日攘夷志士から逃げてるつもりが敵陣近くに行ってたって?知らんな。それ本当に私?
ともかく、沖田さんがどこかに行こうとしてるのは確実である。
「ああ、俺ァこのまま見回り行くんで」
「そうですか、お気をつけてー」
手を振ったけど無視された。つら。もうちょっと仲良くなりましょうよ。
仕方が無いので来た道を戻る。無事屯所が見えてきたので一安心だ。ほら!私方向音痴じゃないでしょ!!
てか沖田さんもしかしてもしかしなくてもサボり?沖田さんが怒られようが知ったこっちゃないけどな!(クズ)
「あ」
「お」
角を曲がった瞬間土方さんとぶつかりかけた。危ない少女漫画が始まるところだったぜ…。
「ただ今戻りました」
「おう。総悟は?」
「見回り行くって言ってましたよ」
「サボりか……」
困ったように頭をかいてため息をつく。滑らかにサボり認定したなこの人。
「アイツがどこ行ったか分かるか」
「あっちの方です」
「そうか、助かる」
私は素直な子なので正直に教える。真逆を指そうと思ったけど土方さんの社畜具合が想像以上だったのでやめた。休んでくれ。
じゃあ、と行きかけた土方さんは、少しこちらを振り返った。何、手降ってくれんの?(歓喜)
「戦わねェとか言っても、少しは警戒心持てよ」
ぴ、と私を指して言ってしまった。私というか、上の方を指してた気が……。
頭に手をやると、髪ではない感触が伝わった。それを手に取る。
紙だ。髪ではなく、紙があった。
紛らわしいなオイ!!と叫びたくなるが、その気持ちをぐっとこらえる。そうだ私落ち着け。うんうん偉いぞ(自分で自分を褒めるスタイル)。
頭に乗っていた髪はどうやら名刺のようだった。裏返すと、そこには「万事屋銀ちゃん」の文字が。
…………エッッ!!??!?!!?銀さん!!??る???
いつの間に、と思ったけど銀さんずっと私の頭に手ェ乗せてたよな。隙だらけ穴だらけでしたわ草。
えー、じゃあその時からずっと頭に名刺乗せて歩いてたってこと?やだ恥ずかしいわ。沖田さん言ってくれよ。そして全ての土方さんにありがとう(エヴ〇風)(全ての土方さんって何)。
言われた通り警戒心を持って生きようと思いました。まる。
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作者名:杉元 | 作成日時:2021年4月3日 22時