第十五訓、友という存在は重要だがあやふやである ページ15
「お風呂ありがとうございます!すっきりしました!!!」
シュバァと効果音がつきそうな勢いで部屋に戻る。あっ沖田さんもういないかもしれない。だとしたら私相当な恥かいたのでは?うわ秒速黒歴史だ目撃者がいれば早急に始末せねば。
「そうですかィ」
しかし意外にも返事は帰ってきた。いた!部屋の隅で漫画読んでら!まさか!
「沖田さん、サボりです?」
「ご名答。マヨ野郎には言うなよ」
「口は堅い方なので!」
胸を張って答える。が、軽く無視された。酷い酷すぎる私に恥の多い生涯を送らせる気か。セルフ太宰治か。
肩を落として書類整理に取りかかる。そういや着替えに貰った着物、着方合ってんのかな?着物なんて滅多に着な…いや、もしかすると人生初着物では?昨日の甚平は含まないとする。
ちょっと裾長めだけどほぼサイズピッタリでびっくりした。いや完全にピッタリだったらそれはそれで怖かったけれども。目測ってすげえ。
着物、思ったより動きやすい。足はそんなに広げられないけど、軽く走るくらいならできるし慣れたら暴れることも…って何をする気だ私。暴れるなよ。
「Aって何歳なんです?」
「16です」
「名字は?」
「ありません。孤児なので」
ぽつりぽつりとかけられる質問に答えていく。孤児じゃないけどな!!名字思い出せないからそういう設定で通してるだけなんだけどな!!親元気かな。
「沖田さん若いのに凄いですね。何すか一番隊隊長って。特大出世コースですか」
私だけ個人情報晒すのは癪なので仕返しに沖田さんの個人情報ばらまく。言うてそんな秘密情報じゃないしいいでしょう。
沖田さんはぴく、と肩を動かした。
「……知ってるんですかィ」
「整理してたら色んなとこに書いてあったので」
だいたい始末書の方だけどな。だいたいバズーカの文字も一緒に並んでるけどな。直す人も大変そうですね(他人事)。
「んじゃ、そろそろ昼時ですし休憩がてら飯食いに行きましょうや」
あんたずっと休憩してただろうが。そんな言葉は飲み込んだ。
「いいですけど、外行くんですか?私お金持ってませんけど」
「……マヨからふんだくれ」
「あわあ。了解しました」
NEXT MISSION:鬼の副長から小遣いを貰え
「でもちょっと怖いので途中まで着いてきてくださいね」
「連れションする女子高生か」
「否定はしません」
赤信号もトイレもみんなで行けば安心よ。ここテストに出るから覚えておきなさい。
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作者名:杉元 | 作成日時:2021年4月3日 22時