12.真実はひとつ ページ12
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菅原side
あの手を振り払ってしまった日から。
宮下とは話していなかったのに。
その張本人から、呼び止められて人気のない体育館裏までつれていかれた。
「あのさ………こないだは、ごめん」
宮下に話を切り出される前に自分から謝る。
「ううん、いいの。私こそごめんね」
そこにはもう、悲しい表情はなかった。
凛とした、彼女の顔。
俺は再び胸が高鳴った。
「私ね、菅原のことが好きなの」
「うん、俺の方こそ………って、ええっ!?!?」
宮下が俺のことを?
ってか………俺ら、両思いだったんじゃん。
俺はあまりにも嬉しくて、愛しくて………その手を握って体を引き寄せた。
「ちょ!?菅原!?」
「まじかぁ………お前が俺のこと………めっちゃ嬉しい………」
そのまま自分の胸に彼女の体を収めた。
ずっと我慢していた気持ちが溢れ出る。
「俺も宮下のこと好き。めっちゃ、好き」
無意識にそう言ってしまった。
宮下は、何も言わずに俺の胸の中で固まっている。
その時の俺は、色んな事が頭から抜けていた。
大地のことも、彼女のことも…。
「あの…じゃあ、今の彼女は?」
小さな声で搾り出すように問いかける宮下の言葉に我に返って
抱きしめる腕を離した。
今更過ぎて、何も言い訳できない。
自分の気持ちから逃げたのは俺だ。
楽な方へ逃げたのは、自分自身だったのに…。
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作者名:茜 | 作成日時:2019年3月22日 11時