【歌い手】恋する彼女 vol.4【完】

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生まれてからずっと片想い、というか当事者たちは気づいていないだけでとっくに両想いなのだが今までの距離が近すぎたせいか想いを告げられずにいるのだ。


なんだよ、アオハルか。





「えー。俺だって悩んでるんだけど、」

「………」





天月の問いかけに誰一人反応はしない。
むしろ、一生困ってろと思ってるくらいだ。


言えよ、はやく。そうすりゃ、終わるんだって！！





「あ、動画の準備してこよー」

「おれ、お茶淹れるから、うらたさん、いいよ」





逃げたな、こいつら。


若干の期待の目を背けながら、なるべく手短に要件を済ませる。





「……ま、頑張れ」

「えぇ」





本人達が気づかない今、なんの手助けにもならない。まあ、もう少し様子見るか。





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いくつかの動画を撮り終えて、三人が帰宅した後、寝室に籠る彼女に声をかける。





「A？もう終わったよ」

「早かったね、もういいの？」





優しい手つきで子猫を撫でる。

ふわふわな毛並みに時より鳴く声が可愛くて、優しく微笑む彼女。


そんな天使しかいない空間で発狂したいが、我慢我慢……。





「？まふくん？」





ん"ん"。か"わ"い"い"。

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