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蛇口を捻って水を出す。部活開始して一時間程経った頃、俺は休憩でグラウンド近くにある水道で顔を洗っていた。
なんだか今日は上手くいかない。
その理由がなんなのか少しだけ原因は分かっていた。昼間のAちゃんを手伝った時、あからさまな線の引き方をされたからだ。一歩近ずけば二歩下がるみたいな彼女。少しは仲良くなれたと思ってたんだけど、そう思ってたのは俺だけだったのかもしれない。
「あ、しまくんおつかれ〜」
「ん？あー、お疲れ様〜」
校舎のほうから手を振りながら出て来たのはセンラ。その手を振り返しながらタオルで顔を拭いた後センラの手にあるものを見て疑問に思った。
「日誌？……今日日直だったっけ？」
「あ、いやー。これは一年の」
「一年？」
「
矢野先生。
センラがそう呼んだ先生は今年入ってきたばかりの新任教師で俺らのクラスは体育の時間にお世話になってる。そんな事は置いといて、センラの言っていた「しまくんがいつも喋ってる子」の方に反応してしまった。
そんなの一年生の中では一人しかいないから。
「日直だって言うからついでに渡しにいくとこー」
「矢野ちゃんになんか用事でもあるの？」
「ちょっと部活の事で用事あってん」
「あぁ、なるほどね……」
そういえば矢野ちゃんは陸上部の顧問だったな……。
生徒達と年齢が近いからという理由で『ちゃん』付けしている生徒がほとんどの中でセンラは『先生』とつけている。
本当に昔から変なところ律儀だよな……。
「……なんか、あった？」
「え、なにが？」
「いや、昼休み後ぐらいから変だなーって。Aちゃん？もちょっと様子変やったし」
「まあ、それはおれの勘違いかもしれないけど」と続けて言うセンラ。確かにセンラとAちゃんとの接点は俺より少ない。だから勘違いと思ってもしょうがないのかもしれないが、俺には勘違いじゃないなと思ってしまった。
明らかに昼休み様子がおかしかったから。
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