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食べ終えて会計を終えたあと、二人で外に出る。時刻は6時を過ぎた所で、少しは打ち解けられたと思っていた俺は駅まで会話を続けていた。
「じゃあわたしは、この駅なので」
「うん、気をつけて」
ペコりと頭を下げるAちゃん。バイバイと手を振ると、少し困ったような恥ずかしがるような顔で手を振り返してくれた。
そういうお淑やかな所にちょっと可愛いと思ったりして、電車が発車した後にスマホを触りだす。
LINEの新しい友達に追加されていた『花折 A』という文字とピンク色の空のアイコン。たった数時間共にしただけだが、少しだけ彼女の事がわかった気がした。
話はするより、聞く方が好き。
人の行動に合わせるのは得意だけど、自分で選択するのは少し苦手。
食べ方が綺麗で、甘いものが結構すき。
それから……。
ピコンとすぐにLINEの通知が入る。うらたさんか坂田、センラの誰かか？なんて思いながら新着メッセージをタップすれば一番上に『花折 A』の文字が出ていた。
「今日は、ありがとうございました。」
文面からも滲み出ている真面目さと礼儀正しさ。絵文字もスタンプもない一文をじっと見つめて、なんて返そうか悩む。
こういう時三人のように気の利く言葉が浮上してくればいいのにあれこれ思いつく言葉はどれも違うような気がした。
てか、俺…。
あの状況で良く連絡先交換出来たな……。
普段なら絶対にしない。向こうから「連絡先教えて」と言われてから交換するのがほとんどの俺にとっては新鮮以外の何物でもない。きっと、目の前の甘いものに目がくらんで出た言葉。じゃなきゃ、普通は有り得ないこと。
それくらい珍しい事だった。
こちらこそありがとう。とか……？
今度はカフェとか行こうね。とか……？
やばい……。
全然わかんない……。
もう少し気の許した相手なら適当に思ったことを文字にするというのになんでこうも文面だけなのに緊張してしまうんだろう。
画面を開いているからには返事を返さなければ、無視してしまうことになる。
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