【歌い手】学園メモリアル②【smus】 (ページ16)

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グッと胸ぐらを壁に押し付けられる。流石に煽りすぎたか…、とも思ったがその時森ルメア自身の身体がスっと軽くなった気がした。

『ありがとう』

また、声が聞こえる。

先程の女共から拉致られるシーン。話の入り方は違ったが、絶対に体験する共通ルートではあった。そしてその時主人公であるルメアはゲームのシナリオ通りに困った顔で黙り込んだまま助けが来るのを待っていたのだ。

──そっか…。
選択モードを解除してたから、今、さっきの発言ができたんだ…。──

何千回、何万回。プレイされた回数分、森ルメアは同じシーンを繰り返していることになる。言われっぱなしだった彼女が反撃出来たのはAのおかげでもある。

たった一回。

ずっと言いたかった事を言えた森ルメアは心なしか初めの設定よりも心が強くなっている気がした。

──本編では確か、ここで好感度を高くしていた人が助けに来てくれた。

……ってことは、坂田が……、──

「なに、してるの？」
「！！！」

女三人が驚いたような顔をする。
影に隠れて姿は見えないが、声で誰か分かった。

──ちょちょちょ。タンマ！タンマ！！！
一回ちょ、メニュー開いていい！！？──

Aは確認するためにメニュー画面を開き、キャラクター画面へと切り替えた。
軽いキャラクター設定と好感度の載っている画面。そこで一番好感度の高い人物を見てAは酷く驚いた。

「ま、まふくん…。これは、その……！」
「…………」
「ちょっとしたアクシデントで、」

──えーーーーー？？？え、えーーー？？？？
なんでまふまふーーーー？？？？？？？？──

今朝確認した時点ではとなりの坂田。が【好感度15】とトップに立っていたのに、今はまふまふが【好感度18】でトップに立っていたのだ。

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