【歌い手】恋する彼女 vol.11【完】

▼@乙女解剖 ページ25

合間な答えを探し出すために生まれてきたようなもので、正解のない世界なんてないと考える。

長女が頼られるなら、甘えるのが私の仕事で。
次女に才能を求めるなら、努力で見返す。一番最後に産まれた私は良いも悪いも見本が既に居たから、適当に息を抜いて、適当に人に絡む。


「あーあ、なんかいい事ないかな」


でも決して姉二人の役割まで食ってしまわぬように。たまには出来ないこともアピールする。

教えられて嬉しいでしょ？
自分の方が優秀で嬉しいでしょ？

上が優秀であればあるほど高い地位を求められる。けれど反対に上が阿呆ならばいい笑いもの。


「必死になってる人は大変だね？」


謝るのも責任も全部姉がやってくれる。嫌なことは全部引き受けてくれる。妹だから。なんて言ってくれるのだ。

……ばっかみたい。

産まれた順番だけの話だろ？
もう少し張り合ってくれなきゃ退屈なのに。甘ったれた人生の刺激が欲しいのに、それすら奪っていく姉。



『好キナ人を、逃がさないように。』



#甘え上手 #世渡り上手 #愛されキャラ #秀才
#計算高い #つまらない人生 #悪女 #人を馬鹿にしやすい #姉と比べないで #私をみて




『末っ子は個性を捨て愛嬌を得た』

もしも、乙女解剖のヒロインが《三女》だったなら。きっとあの愛を求める台詞は彼女が今一番欲しい言葉。

愛されることに慣れてしまったヒロインが注目されるのは姉たちがいたから。でも見かけだけで評価が決まってしまうのは納得出来ないの。
私は姉たちのコピーじゃない。
私自身をレンズ越しではなく直接見て欲しい。

末っ子の身体が燃え尽きて灰になるのは思い描いた『理想』が崩れた時。……どんなに綺麗に描いた夢でも想いが熱すぎると焦げ落ちていく。

「骨の髄まで、愛してくれる？」

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