【歌い手】恋する彼女 vol.6【完】

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カランカランとベルの音が聞こえた後に店内に足を踏み込む。

画像で見せてもらったよりも広々とした空間に多くない客。それなりに居心地のいい場所だが、女性客の視線が痛い。

「あ、やっぱり今日当たりだったよ！」
「しかもこの間の人と別じゃない？なんか、可愛くなってる」
「類は友を呼ぶって言うもんね！」

……。なにで盛り上がっているのか分かって辛い。

大方luzの友達(歌い手仲間)の話でもしているのだろう。わざとらしい女性客の声を無視して店内を見渡せば、いち早くハニーを見つける。

広げたノートに教科書を見ながら書き込み、時より顔を上げて向かいにいる女性に笑いかける。
あの子が、同い年の仲良くなった子かな…？


「あ！あそこの空いてる席座ろうよ！」
「は！？ちょっ、ストップ！！」

何平然とハニーの隣座ろうとしてんの、コイツ。
大体、勉強中だよ！？
ギャーギャー騒いだらハニーに迷惑だろうが！

引きずるようにluzの腕を組み、少し離れた4人がけの席に座る。

ここならハニーも見れるし、うるさい客も居ない。

「なんでここに座るのー？カウンター席空いてたじゃん」
「勉強してる女の子居ただろ。大体、カウンター席で打ち合わせなんて聞いた事ねぇよ」
「えー？」


不満なluzはカウンターに立つ女性を見つめる。

……。……？
え、待ってハニーと仲のいい子がluzの彼女？？

「確認だけど、あの子が彼女？」
「よく分かったね！あげんよ」
「うん。よく聞け。向かいに座る可愛い女の子がオレの彼女だから」
「……」
「……」
「は」


メニュー本で顔を隠しつつ、luzが顔を近づける。

「……て、ことは彼女同士も仲が良いと」
「ご名答」

案外世間は狭いのだと実感しつつ、luzと同じタイミングで彼女達を盗み見る。

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