【歌い手】恋する彼女 vol.5【完】

@11/3 そらるんに恋する彼女 + まふまふ ページ16

「お疲れ様ー！」

熱烈な歓迎に後ろに倒れそうになるのを何とか支えて、持ちこたえる。
やばい。ライブ前にギックリ腰とかシャレになんないよ。
鍛えてて良かった。

元々武道をしていたから、体力には自信あるけど最近はまじで何もしてないから。

「危ないよ」
「えへへー！つい、嬉しくなりましたー」

30年と生きてきて今までいろんな選択肢を選んできたけど、やっぱり彼女と出会ったのは正解だったと思う。

一途な所とか、
察しのいい所とか、
自分の時間を大切にする所とか。

上げていったらきりがないけど。

「お熱い中、申し訳ありませーん。後がつっかえてますー」
「？……帰れば？」
「Aが中にいるんですよ！？」

帰るなんてありえない。
自分の彼女の名前を呼べば、奥からエプロン姿のAちゃんがトコトコと出てくる。

「あ、そらるさん。おかえりなさい、お誕生日おめでとうございます」
「A！そうじゃない！！」
「あ、そうだよね。そらるさん中へどうぞ」
「それも違うんだけど！！！」

Aちゃんの天然っぷりといい、まふまふのツッコミといい、バランスのいいカップルだなぁと思う。

きっとまふ、イチャイチャしたかったんだろうな…。

「ケーキ作ったけど…」
「あ、ライブでもサプライズで出たんだよね」
「じゃあそらるん要らない？」
「要らないとは言ってない」

皆がくれたサプライズケーキももちろん嬉しかったけど、一番の人に貰うものはほしいに決まっている。

後ろでエプロンを畳みながら、バックに詰めていくAちゃん。

「まふくん、帰ろっか」
「え…？お誕生日会楽しみにしてたじゃん」
「うん。でもお邪魔したらダメかなって」

人一倍気配りのできるAちゃんなりに、自分の中で結果を出した答えなのだろう。

俺らを見つめたあと「そうだね」と優しく呟くまふまふ。最近仕事詰めで大変だったまふまふも彼女不足だろう。今日くらいはゆっくり過ごすのもいいかもしれない。

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