愛に飢える[稲荷崎](元片道切符) (ページ30)

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たまには優しい所あんじゃんページ30

落ちた眼鏡を拾って掛け直した。

「…力強っ」
しかし、寒い。

凍える体に浸っていると、
後ろからジャージを被せられた。

この匂い、…「おさ、む……」
居たのは宮侑だった。

彼は私に視線を合わせようとしない。
「…なに、みてたの。

てか私の事嫌いなんじゃなかったの」
後頭部を触りながら、彼は言った。

「…あんたが正しいわ…俺がノッたんが悪い」
「まぁ、それもそうだけど……」

あとこれ要らない、とジャージを返すと、
「あ"ぁん！？人が優しくしとんねんで！！？

ありがたく受け取れや阿保！！
サムには拾ったって言やええやろ！

こんなん浮気とちゃうで！！」
「いや言ってないから…」

治の双子がそんな性悪な奴とは思ってないし。
きっと何かあるとは思ってた。

「…ミヤアツは……女運ないな」

なんだかキレられてしまった。
彼は部活だったのか、そのままいちゃもんつけて

走って行ってしまった。

________これで終わり、だと思った？__
誰かの声が聞こえた。