#12 ページ15
────体が揺れている感じがして、私はゆっくり目を開けた。
見えた景色はゆっくりと動いていて、誰かにおんぶされながら歩いていることに気づく。
『だ、誰……?』
私が思わずそう聞くと、その人は驚いた様子で立ち止まった。
(え…!?じろ…う?)
私をおんぶしていたのは、二郎だった。
(でも、どうして私は二郎におんぶされて…?……!)
そうだ!私、あのあと気を失って……!
もしかして、二郎が助けてくれたの……?
そう考えて、すぐ目の前にいる二郎を見る。
おんぶされているから顔は見えないけど、心配してくれているのは伝わってくる。
(お礼、言わなきゃ)
『あ…あの二郎「ごめん、A姉ちゃん!」…え?』
今。今、二郎は “A姉ちゃん” と言った。昔と同じように。
二「あ...あの俺...。A姉ちゃんだって気づかなくて...。
それで...」
言葉に詰まってしまう二郎。
二「そ...それで...あんな態度...。ほ...ほんとに...ごめん......。」
『大丈夫だよ』
私は微笑みながら言った。
『勝手に出て行った上に3年間も家にいなかったんだから当たり前だよ』
そう言っても二郎はまだ落ち込んだ顔をしていた。
な、なんか話題を変えないと…!
あ!まだ、助けてもらったお礼言ってない!
『そうだ、二郎。私を助けてくれたの二郎だよね?ありがと!』
二郎に自分のことを責めて欲しくない。
そう思って、できるだけ明るく、笑顔でお礼を言った。
二「……うん…」
二郎は少し驚いてから頷いた後、すぐに前を見て歩き始めた。
その顔は少し赤かった気がした。
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作者名:星海&妹君ワヨ激 x他1人 | 作成日時:2018年12月21日 13時