抗えぬ運命【アイナナ】 (ページ3)

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お父さんページ3

「お父さん。今、少しいい？」

「...ああ、用なら手短に。」

父の書斎に足を踏み入れれば、冷たい空気が肺に流れ込んできた。
冷ややかな眼差しは私ではなく手元の書類に向けられている。

「FSCの、逢坂壮五さん、って分かる？」

相変わらずの父の態度に、今までは何も感じなかったはずの心が傷付いた。
前世での優しい父を知ってしまったから...。

「知っている。それがどうした。」

「どんな人なのか、それと年齢も教えて貰いたくて...。」

「...真面目で愛想の良い好青年だ。歳は18。これで十分だろう。早く部屋に戻れ。」

「はい、ありがとう、お父さん。」

一礼をし、書斎を後にする。

「お父さん、か...。」
先程まで自分が発していた言葉を口に出してみたが、不思議なことに違和感は感じなかった。
前世の父を思い出し、現在の父を父と思えなくなったはずなのに。

.....逢坂壮五、18歳、真面目で愛想の良い好青年...。

父に教えて貰ったプロフィール。
私の読みは当たっていたようで、どうやらここはアイナナのストーリーよりも前の時間軸のようだ。