日々樹先輩の観察日記【日々樹渉】【短編集】

寂しいって言ってみた ページ3

日葵side



『……はぁ』



ここ最近、渉さんと会っていないのだ。

丁度『fine』のお仕事が忙しいらしく、朝もずっと練習している。

私も違うユニットの衣装関係の仕事が入っているため関わることが減ってしまった。


毎朝話していただけあって、心にぽっかり穴が開いたような気分だ。



それなのにガーデンテラスなんかでたまに見る渉さんの笑顔を見て、
気にしてるのが自分だけなのでは、とすっかり落ち込んでいた訳で。


『……』

朝の廊下を歩きながら、ため息ばっかり…。

そして私はようやく仕事が軌道に乗ったので一応渉さんの教室に来てみた。
まだ忙しいのか、教室は空っぽ。


また虚しさがこみ上げる。


『……寂しいな』


ポツリと呟いた本音は、誰にも聞かれずに空白に吸い込まれた……


と、思ったら――。



渉「私も一緒でしたよ、日葵さん」


唐突に人の声が耳元に響き、私はひゃあっ!っと奇声を上げる。
声の主を確かめようと振り向こうとしたが、相手に強く抱きしめられてできない。

渉さんの吐息が私の髪を揺らし、少しむず痒い。

『え、えっと……』


渉「…少し」



『え…?』


渉「少しだけ……このままでいいですか?」





『……はい』

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