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区切りのいいところで片付けをやめ、準備をし目的地に向かう。
彼女に会うのは多分、2年振りくらい。少しだけ緊張してしまう。
電車をおり歩きながら向かう途中、度々見かける彼らの名前。
その度にデビューしたんだな、人気になったんだなって思わされる。
そしてタイミングよく、街中にあるプロジェクターに映し出された彼らのMV。
思わず足をとめその映像を眺める。
そういう人は私だけではなく、他にもたくさんの人がその画面を見つめキャーキャー言っていた。
”あべちゃんやばい!”
”ひーくんかっこいい〜!”
たくさんの声が聞こえる中
”今のふっかやばくない!?”
そんな声が聞こえ、無意識にそちらをチラッとみる。その声の主は私よりも若くてとても可愛らしい女の子。
きっと彼らにはたくさんのファンの人がいて、それはこれからも増え続けていくんだろう。
映像が切り替わり先程まで足を止め騒いでいた人達も歩き出す中、未だ動けずその場に立ったままの私。
どんどん大きくなっていく彼ら
どんどん夢を叶えていく彼ら
どんどん前に進んでいく彼らと違って、未だあの日から全く前に進めていない私はどれだけ惨めなんだろか。
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作者名:chi | 作成日時:2021年3月4日 23時