コックの気苦労2 ページ43
(side Marco)
親父の確信をつく問いかけに一瞬息を飲んだサッチだったが、小脇で固まる彼女を見下ろし顔を緩ませて息をついた。
サ｢…はは、やっぱり親父には適わねぇなぁ…俺は、この船にバーを作りたいんです。皆が集まって、その日あった事を話しながらゆっくり酒を飲める場所｣
根負けしたサッチは俺にも話さなかった事を親父の前であっさりと口に出しやがった。
白｢バーだと？グララ。この船にも俺たちにも随分不釣り合いじゃねえか｣
サッチの言葉に豪快に笑い声をあげる親父の迫力に固まってしまった彼女は今にも泣きだしそうな顔で立ち尽くしていた。
サ｢それがそうでも無いんです。俺は常々思ってたんです、この船には静かに仲間と酒を飲む場所がねえって。食堂も甲板も俺の酒を横取りする奴らばかりでゆっくり飲めたもんじゃねえし、部屋で1人で酒を飲んだって味気無くて飲んだ気もしない。この船には確かにバーが必要なはずなんです｣
吹っ切れたのか饒舌になったサッチが話す内容は、確かにこの船に乗る人間なら1度は感じる事だった。隊長クラスともなれば部屋が一部屋与えられるがあんな場所で1人で酒を飲んでいれば3日を待たずに飽きちまう。
白｢グララ…随分言ってくれるじゃねえかサッチ。俺ァお前らが騒いでんのを見ながら飲む酒は一等好きだぜ｣
親父が手元の酒をグイと煽る。いつもの様に何でも見透かしたみてえな顔で笑った。
サ｢そりゃあ俺も皆でバカ騒ぎするのは好きさ！そいつらが俺の料理を囲んで幸せそうにしてたら最高だ！それでも、これはどうしても譲りたくないんです｣
何だかんだと言いつつも大抵の事は笑ってやり過ごしていた普段のサッチからは想像もつかない程、今回のヤツからは何か気合いのようなものが漏れていた。
そんなサッチを未だ珍しそうに見る親父は気まぐれに小脇でもはや石のような彼女へと視線を向ける。
白｢こいつは確かマルコが拾って来たんだったな。すぐに死んじまいそうじゃねえか｣
そう言って意地悪く笑った親父。小さく固まる彼女を面白がっているのだろう。当の彼女はついに蛇に睨まれたカエルよろしくビクリと肩を震わせていた。
白｢名前は何てェんだ、小娘｣
震える口を何とか動かそうとする彼女は痛々しくて目も当てられない。サッチが助けに入ろうとしたところで意を決したように彼女が拳を握った。
『A、でっ、す！！』
腹の底からの精一杯の大声。俺は初めて彼女の名前を知った。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
