コックの気苦労3 ページ44
(side Thatch)
廊下にいるマルコの足がカクつくぐらいに大きな声で返事をした小脇の彼女。っと、Aちゃんだな。
口元は緩くカーブしちゃあいるが、親父の目を見ればそこまで楽しそうじゃねえのは彼女にも伝わったらしい。腹の底から出した声と一緒に魂まで抜けちまったのかひょろりとふらつくAちゃんを慌てて支える。
大したもんだ。街の小娘は親父を目にしただけでも泡を吹いて倒れちまうだろう。それは言い過ぎにしたって、悪名高い四皇白ひげを前に普通の女の子が口なんてきけるもんじゃねえよ。何もかも半人前なこの子だが、肝だけは据わっているのかもしれない。
白｢グララ…良い声出るじゃねえか。この船にお前みてえな女は必要ねえが、俺の可愛い息子が拾って来たんだ、後はそいつらに面倒見て貰えよ、虫っけら｣
カッと一息で彼女を笑い飛ばした親父は、話は済んだと言わんばかりに酒を煽った。足が竦んだ彼女を見ると口をポカンと開けて目を見開いている。そりゃあそうさ、お前の生きた十数年なんて親父にとっちゃ寝酒にもならねえんだ。
サ｢はは、ありがとうございます。んじゃあ、失礼します｣
ふらつくAちゃんの背中を押しつつ足早に船長室を出る。今は喜ぶよりも彼女のフォローが先だ。
廊下に出るとバツの悪そうな顔したマルコが頬をかいていた。かける言葉が見つからないのか、彼女の頭を不器用にひと撫でして｢何か食うか｣なんて問いかける始末。おいおい、それを作るのは俺だぞ。
サ｢…そ、そうだ！親父の許可も、一応？貰えたみてえだし！パーッと飲んじまおうぜ！俺の部屋にとっておきのウイスキーがあるんだ、な？｣
Aちゃんの顔を覗き込むと伏せ目がちな目でコクリと頷く。なんだ、案外ノリのいい子じゃねえの。
サ｢っし！そうと決まればこのまま俺の部屋に直行だ！おい、マルコも来いよ？｣
逃がさないとばかりにマルコの肩をがっちり掴む。眉間に深い皺を寄せたが、後ろをトボトボ歩くAちゃんをチラリと眺めて盛大な舌打ちとともに｢分かったよい｣と了承の声を頂いた。
ーーー
ーー
『む、虫けらって、なんなんですか〜』
あの後俺の部屋で始まった大反省会。親父の言葉に酷く落ち込んだAちゃんを前にさすがの俺達も場を持て余していた。こんな時の解決法は酒しかないととっておきのウイスキーを差し出したところ、勢い任せに飲み干す彼女はあっという間に饒舌になってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
