食堂を統べる者 ページ34
(side Marco)
マ｢さあな、今頃着せ替え人形にでもされてるだろうよい｣
細い腕を引かれ、どこか不安そうな少し嬉しそうな顔をして彼女は船内へと連れていかれた。
幸いこの船にはナース達が多く暮らしている。彼女達からすれば世話の焼きがいのある若い女が来たとあらば、ほっといてもあれやこれやと揃えて貰えるだろう。
サ｢そりゃ大変だ。それじゃあこっちに来るのは随分後になりそうだな｣
出来たての料理を手にわざとらしく溜め息を漏らす。ああ、またそんな無防備にメシを置けば…
エ｢それ、食わねえんならくれよ｣
サッチの返事を待たずに皿を取り上げたエースは、ほとんど一口でそれを食い尽くしお決まりの様に机に突っ伏して寝息を立て始めた。
サ｢あっ！ちくしょう、やられた！｣
マ｢そろそろ学習しろよい｣
提供前の料理を食欲旺盛なエースに奪われるのはよく見る光景だ。
サ｢あれはあの子の分だったんだぜ？｣
見たところ今出せる分は終わっちまったらしい。やせ細った彼女の食べる分が無いってのはどんな皮肉だろうか。
そう思うと皿の上に残ったホットサンドの一切れにも手が伸びないというもの。
エ｢…んん、あ…寝てた…｣
頭で考えるより先に目の前の皿を安全圏へと避ける。寝起き直後とは思えない速度でエースの周りの食い物はやつの腹へと収まっていった。
食っちゃ寝を極短時間で繰り広げる姿に捕虜の男達がポカンと口を開けている。無理もない。俺たちにとっては見慣れたものでも、世間じゃこんな光景は見られるもんじゃないだろう。
サ｢ったく、どうしようもねえな｣
呆れ顔でエースの食い散らかすテーブルを片付けるサッチが視線を泳がし、俺がわざわざ安全圏へと避難させたホットサンドに目を付けやがる。
サ｢っと…さっすが世話焼きな長男様は違うぜ、それ、あの子の為にとってたんだろ？｣
マ｢…んなわけねえだろい｣
サ｢いやー、助かった！もう今出せる分は終わっちまったんだよ。これならあの子も食えそうだ、ついでにあの子の所まで持ってってやってくれよ、な？｣
畳み掛けるような言葉の奥には有無を言わせないとばかりの気迫がうかがえる。この船の食を牛耳るこの男を敵に回すと後々面倒なのだ。
マ｢チッ、せめて自分で持ってけよい｣
渋々皿ごとカウンターへ下げる。満足そうに笑みを浮かべるこの男を蹴り上げてやりたい。
サ｢悪ぃな、これから夕飯の仕込みがあるんだよ、頼んだぜ兄弟｣
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
