目覚め2 ページ19
(side You)
リンゴが食べたいと要求すると赤髪の男は怪訝そうな顔をする。
？｢そんなもんでいいのか？そんなんだから細っこいんじゃないのか｣
『いちいち一言多い人だなあ…』
？｢おい、そりゃあもしかして心の声じゃねえよな？｣
おっといけない。男は私がうっかり零した言葉に一瞬ムッとするが、すぐに吹き出して盛大に笑った。
？｢やっぱりお前は面白い。良い拾い物をした｣
よく分からないが私はこの男に気に入られているらしい。ひとしきり笑った後に男は立ち上がる。｢待っていろ｣と一言残して部屋を出ていった。
騒がしい彼がいなくなった部屋はまたしんと静まり返った。
彼のいなくなった部屋で妙に噛み合わない会話を思い出す。あの口ぶりは私の事を以前から知っているようだった。むしろ可笑しいのは私の方だろう。見知らぬ人間に話しかけているようには思えなかった。しかしどうしても思い出せないのも事実だ。
いくら考えても浮かばないものは浮かばない。どこで彼に出会ったのか、自分がどんな環境にいたのか、｢あのオヤジ｣とは一体誰なのか…
脳ミソをいくら捻っても何一つ思い出せない。
考えすぎて頭に血が上ってきた。じんわり痛み出す頭に手を置くと、そこで自分の頭に巻かれた包帯に気づく。窓ガラスに薄く反射した自分をよく見ると体中傷だらけだった。
『何、この大ケガ…』
顔にも無数の傷が出来ていた。意識すると痛み出す頭の傷が、先程の曖昧な会話を思い出させる。
これはもしかしなくても…
？｢何だ、百面相して…傷が痛み出したか？｣
頭を抱えていたところ、リンゴを片手に赤髪の男が戻ってきた。男はまたベッドサイドへと腰掛ける。
？｢ほら、お望みのリンゴだ。1番大きなのをくすねてきたぞ｣
そう言って差し出されたのは本当に立派なサイズのリンゴだった。真っ赤に熟れて甘い香りがする。
『美味しそう…こんなに立派なの、良いんですか？』
？｢お前の為に持ってきたんだ。何を遠慮する事がある？｣
さあ食べろ、と手に持ったリンゴを口元まで押し付けられる。慌てて一口齧ると爽やかな甘みが香りと共に口いっぱいに広がった。心地よく広がる果汁が乾いた喉に染みる。そのリンゴは今まで食べたどんな物より美味しく感じた。
『美味しい…これ、とっても美味しいです！あなたも一口どうですか？』
この感動を誰かと共有したい。隣に腰掛ける彼へとリンゴを差し出す。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
