兄達2 ページ17
(side Marco)
あいつの幸せ、なんてものは俺たちが決める事じゃねえってのは薄々気づいている。それでもどうしてここまで貪欲にあいつの幸せを願うのか。
サ「あいつが船を下りてどこに行こうが、それは変わんねえ。お前もそうだろ?」
当たり前だ。だから船から下ろしたんだ。
サ「だからよ…あいつとまた向き合ってやってくれねえか?こんな海の中じゃ、あいつ、寒くて震えちまってるはずだ」
固く握られた拳が震えた。真っ直ぐ水面を捉えるその目は確かに妹を思う兄のものだった。その目に叩き起される。
マ「ああ、元からそのつもりだよい」
サ「頼んだぜ、兄弟」
願いを込めた誓いだった。一度は自分が下ろしてしまった彼女だが、この船には、俺にはまだ彼女が必要だ。情けないことぐらいは分かっている。もう一度戻ってきて、その顔を見せてくれるだけでも良いんだ。願うのはただそればかりだった。
応急処置を施されたラグナは医務室へと運ばれた。彼女が目を覚ますまでの間に嵐はすっかり止み、Aの捜索はモビーに加え島の漁船にまで協力を仰いで行われた。
数日ぶりに目を覚ましたラグナは俺たちに事の詳細を話した。
宿屋で寝ていたところを攫われ気づけば船上だったこと。船が暗礁に乗り上げ、なんとか甲板へと出たところで高波に襲われAとはぐれてしまったこと。荒れ狂う海の中、必死に丸太にしがみつき、誰かにAの事を伝えようと生き抜いたこと。
Aを助けてくれと涙を流して懇願する姿は、数日前にAを陥れようとしていた事を全て消し去った様だった。
ラ「お願い…助けてあげて…見つけてあげてよ…!」
幾人もがAの命を願っていた。2人の乗っていた船が座礁したその日から10日が過ぎた。俺たちはまだAの姿を見つけられずにいた。
ーー
とある船の見張り台。遠くを眺めるのが趣味な男は今日も望遠鏡で過ぎ行く島を眺めていた。ここら一帯は気候が不安定で、ここから見える島の殆どが無人島だ。
?「ん…?あの島の砂浜、何か落ちてるぜ」
覗いた望遠鏡は真っ白な砂浜を見つめていた。さほど大きくない島で真っ白な砂浜の上はよく目立つ。隣の見張り番に望遠鏡を差し出して覗かせる。
?「本当だ、ありゃあ…もしかして人間じゃねえか?」
目の良いそいつは砂浜に落ちたそれが人間だと言い出した。なるほど、確かによく見ると人の形をしている。遭難でもしたのだろうか、辺りに人がいる気配は無さそうだ。
.
115人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます!!過去編もうちょっとだけ続くと思われます!これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです!! (2019年5月13日 23時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか!過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい! (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ!ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉…!感無量です!ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます!これからもどうぞお付き合いください! (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください!続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…(;∀;)少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります!!これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います! (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:がまお | 作成日時:2019年3月15日 15時