Drunken Whale (ページ26)

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赤髪の男4 ページ26

(side You)

男は少し言葉を濁す。何か隠したいことがあるのだろう、詮索するのは良くない。

『そうなんですね…あ、ってことは、あなたの船もこっちの港に？』

この島には港が2つある。それなりに大きな島で、交易も盛んなこの島では北と南に大きな港があるのだ。モビー・ディック号は南の港に停泊している。

？｢俺の船は北にある。明日にこの島を出るんだ。南の街にいい酒を扱う店があると聞いて来てみたんだが、まさかあんなに面白いものを見れるとは思わなかった｣

再びガハハと笑う男。私はこの人にこのネタで一生笑われ続ける気がしてならなかった。

『～っもう！いい加減忘れてくださいっ！』

？｢やーだね！帰って俺の仲間にも聞かせてやるんだ、酒の肴にしてやるよ！｣

『わー！やめてくださいってば！』

騒がしく街を行く私達。こんなにギャーギャーと言い合いをしたのはいつぶりだろう。不思議と楽しくて樽を人にぶつけた事なんてすっかり忘れていた。

男｢あっ！！、あそこにいやがった！！待て赤髪と女ァ！｣

遠く後ろの方から樽をぶつけてしまった男が再び現れた。

？｢おっ、中々早かったなぁ｣

『ば、バレたんでしょうか！？』

？｢そうみたいだ、さあ！走るぞ！｣

何故か余裕たっぷりでにっこり笑う赤髪の男。笑ってる場合じゃないってば。

私と赤髪は全速力で坂を下る。人通りの増えてきた時間帯。私達が上手く進めないように男も思うようには追ってこれないらしい。

しかし、そんなに上手く逃げ切れるはずもなかった。ようやく坂道を下りて安心した私達の前に数人の男達が立ち塞がる。立ち止まった私達に樽をぶつけてしまった相手が追いつく。

男｢よくも偽物掴ましやがったな！おかげで俺は恥かいちまったじゃねえか…お前ら2人まとめて海に沈めてやるぜ｣

？｢…下がっていろ。こいつを押さえておいてくれ｣

赤髪の男は抱えていた樽を地面に下ろす。まだ緩やかな下り坂で私は慌てて樽を押さえた。

？｢いやあ、悪かったな！あいつを飲み干して水で薄めて残り香を楽しんでいたんだが、すっかり忘れていたんだ！すまないな｣

男｢ふざけんじゃねえ！ベラベラと見え透いた嘘つきやがって…その減らず口、叩き切ってやる！｣

男はナイフを取り出す、それを合図に周りの男も武器を取り出したり指を鳴らしたり…物騒な事態に体がこわばった。

(助けて…みんな…マルコ隊長…！)

こんな時に彼らがいればと強くブレスレットを握った。