名探偵様は何時も私の働く花屋に来る【江戸川乱歩】

十ニ輪目：イカリソウ《君を離さない》 ページ14

中｢あぁ、くそっ｣


Aはおそらく、未だに気付いていないだろう。
俺が恋をしている相手がAだということに。

最近はこのことばかり考えて仕事さえろくに出来ねぇ。

やはり正面から告白を…
だが、それだと此方が不安で仕方がない。


樋｢？中也さん、どうかしましたか？｣

中｢いや、なんでもねぇ｣


あぶねぇ、危うく悟られるとこだったぜ…

俺が一般市民に恋をしているというのはおそらく誰も知らないだろう。
これはアイツに告白出来ねぇ理由でもある。

もしも俺がポートマフィアの幹部だと知れば、アイツは何て言うだろうか。

おそらく隠し通す事は無理だろう。


……また花屋に行ってみるしかねぇのか？


中｢…はぁ、ちょっくら外の空気でも吸って来るかな。｣


恋がどれだけ厄介なものかを思い知らされた
そんな気がした。



＊ ＊ ＊



『ありがとうございました〜！またいらしてくださいねぇ〜！』


今日も今日とて花を売り、育てる。
だけの筈だったのですが……


乱｢やっほー！来たよーAっ！｣

『きょ、今日もいらしてくださったのですか！？』


武装探偵社様へ花を生けに行った日から毎日江戸川様はいらっしゃります。
お仕事は大丈夫なのでしょうか？


乱｢実は昨日ねえ＿＿｣


こんな風にいつも仕事の面白いお話を聞かせてくださります。

そのお話は飽きることはなく、いつも驚かされます。


『江戸川様、毎日こんなに来てくださりますが…』

乱｢何故こんなに親切にしてくださるのでしょうか、って言うつもりでしょ。｣

『！！はいっ、その通りです！！』


時々私の言おうとしたことを見透かされてしまいます。
その度に私は感心してしまいます。


乱｢だって僕は＿＿｣


ﾁｬﾘﾝ


『いらっしゃいま……って、中原様！』

乱｢…え、中原…？｣

中｢よおA…って！手前は！！｣


中原様が指差したのは江戸川様
ど、どういうことでしょうか…？

私は今年一番混乱しているような感じがしました。
　

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