あだ名 ページ8
ーーーー太宰視点ーーーー
｢A、熱はおさまったか？｣
｢えぇ、御迷惑をおかけして申し訳ございません。｣
｢社長からの伝言だ。出張から帰ったばっかり何だから今日と明日は家で休めとのことだ。｣
…え？
明日、Aは休み？
出勤しない？
｢無りィィィ！！！｣
｢五月蝿いぞ太宰ィィ！！｣
いやいや、私がこうして出勤しているのはAが居てこそだ。
Aの居ない職場なんてゴミ捨て場のような物！！
｢治、お願いだから明日ぐらいは休ませて。
今回は特に厄介だったんだから。｣
｢えぇ〜……｣
｢今度のお昼休憩で一緒にご飯食べてあげるから。｣
｢どうぞお休み下さい。お嬢様。｣
｢それはやめて。｣
今度のお昼休憩で一緒にご飯を食べてくれる
ただそれだけでも嬉しい
Aの好きなアイス珈琲をあげよっと。
｢それでは、失礼します。｣
其の儘Aは行ってしまった。
あーあ。
つまんないなぁ。
｢太宰さん｣
｢どうしたんだい。敦くん。｣
｢あの、今日の仕事の時に氷乃さんが犯人に″探偵社の雪女″って呼ばれてたんですけど、どういうことなんですか？｣
嗚呼、あのあだ名か。
｢簡単に言うと、Aって探偵社に入る前は殺し屋みたいな仕事をしていたのだよ。｣
｢こっ、殺し屋！？｣
｢とはいえ、横浜の極悪人が対象だ。
其のあだ名は犯罪者の間で使われたらしい。｣
国木田くんが補足する。
そう。
其の白い肌、整った顔、水色の髪と瞳、異能力、
まさに雪女だ。
まあ私も詳しくは知らないけど。
｢でもまぁ、Aは其のあだ名は昔を思い出すから嫌いだって言っていたけどね｣
乱歩さんがAから貰った駄菓子を食べながら言う。
Aは私が質問したことは嫌々言いつつも必ず答えてくれる。
でも、過去の話は答えてくれない。
いや、質問出来ないの方が正しいか。
過去の事について関与する話題になると彼女は悲しげな顔をする。
私は其の顔をしてほしくない。
｢敦くん｣
｢はい。何でしょう。｣
｢Aにちょっとでも気があったらわかってるよね？｣
｢あっ、ありませんよ！！｣
後輩をいじるのは楽しいねぇ
Aが居たらもっと楽しいのに。
明日家の前に行ってみよう。
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作者名：すばり x他1人 | 作成日時：2023年10月20日 1時
