話したいこと ページ28
ーーーー太宰視点ーーーー
｢ねえ敦くん｣
｢は、はい。どうかしましたか？｣
｢ツンデレで頭を叩いてきながらも手を握ってくれるAと
ポケットの中に手を入れてきて顔を真っ赤にしながら手を握ってくるA、
どっちが好き？｣
｢……はい？｣
究極の二択
という言葉があるだろう。
その言葉について考えていると
Aの可愛すぎて死んでしまいそうになるシチュエーションが思い浮かんだ。
｢因みに太宰さんは？｣
｢両方｣
｢えぇ……｣
これは後輩をいじっているのではない。
質問しているだけだ。
｢で、どっち？｣
｢えっと、顔を真っ赤にしながら手を握ってくれる方…ですかね？｣
｢何、Aに興味でもあるの？｣
｢いや、太宰さんがきいてきたんじゃないですか！！｣
やっぱり後輩をいじっているの方が正しいかもしれない。
まあ敦くんをいじるのは楽しいけどね。
ﾌﾟﾙﾙﾙﾌﾟﾙﾙﾙｯ
｢もしもしぃ！A〜！｣
Aからの電話は着信音を変えてすぐに分かるようにしてある。
[治、ナオミちゃん達が組合に狙われていることが分かった。
敦くんと一緒に汽車の停車駅でナオミちゃん達を保護して頂戴。
私もすぐに向かうわ。]
成程…そう来たか。
｢組合となるとかなり厄介だねぇ…｣
[頼んだわよ。]
｢ねぇA。私この騒動が終わったらご褒美が欲しいなぁ〜｣
[こんな時に何を言っているのよ…
ご褒美ではないけれど、一つだけ話したいことがある。]
｢もしかしてっ！告白！？｣
[違う。とにかくナオミちゃん達をよろしく。]
そのまま電話は切れた。
もうっ、Aってば強がりだなぁ
｢太宰さん！行きましょう！！｣
どうやら敦くんも聞いていたようだ。
まあ、説明が省けて楽だね。
それじゃ、Aの為に頑張ろうかな。
……話したいことってなんだろ。
疑問を抱きつつ、私と敦くんは駅へ向かった。
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作者名：すばり x他1人 | 作成日時：2023年10月20日 1時
