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別れ話【桃】 ページ4

「別れよう」



そう言うと、Aは言われることが分かっていたかのように驚くそぶりを見せずにただ悲しそうな顔をした。



『私さ、言われるの分かってたんだ。最近目が合っててもさとみくんは私じゃない子を見てるみたいだもん』




他に好きな子ができたんだね、と寂しそうな笑顔を見せるAをみると罪悪感がすごくて。


けどこうしないといけなかったという理性が勝って、言いたい事をグッと抑える。



本当は…なんて。言えたらどれだけ良いだろう。





「ごめん、ごめんなっ…。ずっと、大好きだった…っ!」



『その過去形が辛いのっ!!さとみくんに幸せになって欲しいから今送り出してるの!!

好きなんて言わないで、期待しちゃうから…!』




Aは泣きながら言った。俺の小さな嘘にも気づかずに。




『もう私と付き合ってたことは忘れて、幸せになってね…?』



「ごめん…」




「また会おう」なんて言えなかった。言えるはずなかった。それは実現できないから。


Aとの思い出を忘れるなんてことも俺にはできない。


謝る以外できない自分に嫌気が差してくる。




「じゃあな…」


『じゃあ、ね…』




歯痒い思いを隠して言った。真実を言って別れたかった。



だが真実を言っても彼女を余計に悲しい顔をさせてしまう。




Aが泣きながら帰っていくのを見て、見えなくなったところで呟いた。





「病気で余命宣告されてる俺がAを幸せになんてできないんだよ。嘘ついてごめんな」




Aは俺が生涯かけて愛したかった人だけどその願いは病気に壊されるらしい。





「大好きだった、じゃなくて今でも大好きなんだよ…っ!」





最近Aを見るとこれからのことが不安になってAを見れなかった。その事を言っていたんだろう。




俺が死んでもAは俺以外の誰かと笑っていられますように。



俺が死んでも俺のことは気にせず良い恋人と出会えますように。





「Aが忘れても俺はずっと忘れないからな」

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作者名:ゆぴ | 作成日時:2023年10月17日 16時

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