ボブヘア【赤】 ページ1
『おはよー』
教室のドアから気だるげな挨拶が聞こえた。俺の好きな人の声だ。教室には俺以外まだ誰もいない。
「A!おはよー…髪切ったの!?」
『うん!ロングからボブになったから結構短くなったでしょ?』
窓際から振り向いてAに挨拶を返そうとするとAが髪を切っていることに気づいた。
「うん…短くなっててその…かわいい、けど急に切るなんてどうしたの?」
教室内に俺とAしかいなかったから勇気を出してかわいいと言ってみた。
ちょっとでも意識してもらえれば良いのに。
『かわいいなんて…ありがとう!
好きな人のタイプがボブの女の子らしくて。それでちょっとでも意識して欲しかったから切ってみた』
はにかむAもかわいい。けど俺、今失恋した?好きな人って言ったよね?
俺のタイプもボブだけど…いや、そんな都合の良いことないし…
「好きな人って俺が知ってる人?」
『えー、なんで?』
「俺が好きだから」なんて言えたらどうなるんだろう。
「良いじゃん良いじゃん!恋バナだよ!」
『んー…莉犬くんが知ってるかでしょ?絶対に知ってるよ!』
俺が絶対に知っててボブの女の子が好みな人…?
「俺の周りにボブが好きな人いなくない?」
『ううん、1人いるの』
「誰だろ…」
本当に思いつかない。俺の知ってる人でボブがタイプの人…
『莉犬くんだよ』
「へ?」
『莉犬くんが好きです。付き合ってください』
両思いだったなんて嬉しすぎて言葉にできない。
けどこれだけ言えるのは。
「はい、喜んで!」
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作者名:ゆぴ | 作成日時:2023年10月17日 16時