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十一発 ページ6

殺るとは言ったものの、二人に動く気配は全く見られない

「そうそう…『私が見張りでいた水無月に何か吹き込んで此方側に引きずり込んだ』って筋書が一応あるから」

「………そうですか」

この二人には、目の前で銃を向けている男達の姿が見えているのだろうか

あまりにも緊張感が無さすぎる

この二人の間に口を挟むことは、太宰やドストエフスキーですら躊躇している

当然ながら敵も

「そう云えば、なんで今までガスマスクを着けてなかったの?」

「普通に考えて、ガスマスクを着けている男が味方ですよって行動見せたところで、誰が信じます?」

「この檻の中にいる人は信じないだろうね……まぁ、可能性がありそうなのは一人だけかな」

水無月の言葉にAは檻の方を少し見てそう言った

「信じる可能性がある奴なんていねぇだろ 今でも信じてねぇよ」

「えー、判らないの中也
その一人って中也のことに決まってるじゃないか」

中也を挑発するように太宰は言った

「あ"? ンだと糞太宰!」

「だよね? 傀儡師ちゃん?」

「さあ、どうでしょう?」

Aは太宰の問いに笑みを浮かべて言った

「!…おい、撃ってきたぞ!」

中原の視線がAよりも奥にいる男達が引き金を引いたのを捉えた

「Aさん、標的は貴女ですね」

水無月がそう言ったと同時に、Aは男達の方を向いた

銃弾は、既に放たれている

「(拳銃だから、銃弾は全部で十一発)」

Aの眼は、その銃弾一発一発を捉えている

刹那、銃弾は凡て消えた(・・・)

「「「「?」」」」

Aは銃弾を凡て避けたのではない

カチャ

Aの左手には金属の小さな塊が十一個(・・・)

「は!?」

左手にあったのは、放たれた筈の銃弾(・・)だった

「なっ!?」

Aはその銃弾を軽く宙に放り投げた

そしてそれを、男達の方に蹴り飛ばした

「忘れ物だ」

Aが蹴り飛ばした銃弾は避けるのを失敗した男に当たった

その男は気絶した

「「「「………」」」」

水無月以外、開いた口が塞がらない状態だった

「御見事」

「まだいるけどね」

「あと十人でしょう…偶数ですから半分ずつ」

「取り合えずこれ」

Aはそう言って水無月に杖を渡した

「クッ……こうなれば、接近戦です!」

二人に向かって、男達が攻撃を仕掛けてくる

「何秒で片付けます?」

「何秒でもいい」

「じゃあ…五秒で」

「了解」

言葉と同時に、二人は動き出す

五秒→←○設定2



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作者名:朱鷺の砂 x他1人 | 作成日時:2019年8月1日 22時

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