最低限の自由 ページ43
安吾が思考を巡らせていると、
「何でそこで突っ立ってるの？」
Aは部屋の外でそう言った
「！ いつの間に外に…」
「組織は壊滅、頭目は逮捕され牢獄
なら、私の行く場所は？」
「………」
安吾は言葉が出なかった
「実験とか研究の材料になるくらいなら死んだ方がマシ」
「つまり…」
「やっと気付いたか……異能特務課の要求を飲むってことだよ」
「！」
「その代わり、最低限の自由は保障してもらうからね」
「判りました」
安吾はそう言うと部屋を出た
「それにしても、真逆貴方が向かい側の檻に入れられているとは、驚きですね」
「僕もですよ」
欧州の何処かに存在する異能刑務所
その内部は強固なセキュリティにより脱獄は勿論、侵入もほぼ不可能
向かい合う透明な檻には、ドストエフスキーと有栖川が入れられている
「不思議ですね
檻に入れられるなんて、不快でしかない筈なのに、何故か今はそれを感じない」
「同感です
嫌と云うほど檻の中に入れらた筈なのに…」
「そうですね…一つ、どうでもいいこと聞いて良いですか？」
「…何ですか？」
「Aさんとはどういう仲なんですか？」
「……？」
ドストエフスキーは有栖川の言葉の意味が判らなかった
「只の部下と上司ではないと感じました……となると…恋仲ですか？」
「…フッ」
ドストエフスキーは笑みを溢した
「何か？」
「いえ、あまりにも真剣な顔で聞くものですから……
心配しなくても、恋仲ではありませんよ」
「では、どんな関係です？」
「……唯の友人、ですかね」
「友人、ですか…」
「貴方は、どうなんです？」
「え？」
有栖川はドストエフスキーに聞き返されると、驚いたような顔をした
「Aの話をしてきたのはそちらですから、少しくらい話すのが筋ではないのですか？」
「そう、ですね……」
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作者名：朱鷺の砂 x他1人 | 作成日時：2019年8月1日 22時
