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五つ目の鍵 <弐> ページ32

「敦君…」

敦と芥川は八絃の力の前に、何もできないでいた

フィツジェラルドと戦ったとき、ゴンチャロフと戦ったときよりも、チームワークがなっていない

敦の中ではまだ、八絃がAの父親であることが引っ掛かっていた

「…口ほどにも無いな」

八絃はそう言うと、壁を解除し、氷の槍を造り出した

槍が、二人に迫る

刹那

バリィン

氷の槍が音を立てて破壊された

「!?」

「傀儡師!?」

「Aちゃん…?」

氷の槍を破壊したのは、Aと水無月だった

「(誰も私に触れない……)」

「だから云ったんだ…同情するなと」

Aは敦に向かってそう言った

「え…?」

「チームワークが成っていない…最悪の状態ですね、貴方達」

水無月が追い打ちをかけるように言った

「お前等が居るってことは、彼奴等は負けたのか…」

八絃は落ち着いた様子で言う

「えぇ」

「後は…」

「「お前だけだ!!」」

水無月とAの言葉が重なる

「その体で…俺に勝つと? 笑わすな!」

八絃は異能力を発動させる

冷気が立ち込め、壁や床が凍り始める

「(意識が朦朧とするほどの寒さ…でも…)」

「(私達は、貴方の異能力を一番近くで見てきた……)」


ーーーーー勝ちは見えてる!!


「(ただ……Aさんもでしょうけど、体は限界をとうに越えてる…)」

「(正直、ここまで動揺が生まれると思ってなかったけど……)
まぁ、ギリギリ許容範囲か……」

Aはそう呟いた

「あ…そっちですか…」

Aの言葉に水無月は言った

頭の中で瞬間的に構築される一つの台本(シナリオ)

「Aさん…一応聞きますが、作戦は?」

「……多分、考えてることは同じ」

「そうですか」

元 “無名„ 最強の二人組(コンビ)

二人の会話には謎が多い

主語も無ければ修飾語も無い、単調な会話

今まで、その二人のペースに乗せられ自滅した敵も少なくはない

「お二人共、我々の目的はあくまで『仲間の救出』です
余計なことを考える必要はありません」

「何…?」

「…?」

水無月の言葉の意味を、敦と芥川は判らなかった

「私達は此処に、復讐とかそう言うのをしに来たんじゃない……」

ーーーーーただ、目的を達成するだけ

「「!!」」

Aの言葉に、二人は目を見開いた

誰よりも八絃達を恨んでいる筈のAの言葉は静かに、だがしっかりと響いた

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作者名:朱鷺の砂 x他1人 | 作成日時:2019年8月1日 22時

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