犬猿の仲の狐 ページ23
ガンッ キンッ
激しい接近戦が繰り広げられていた
「避けてばかりか? 女狐」
挑発するように霜月が言った
「五月蠅い、化狐」
Aはそう言うと霜月に蹴りを放った
「…クッ……」
霜月は蹴りを喰らう瞬間、受け身を取ってダメージを軽減する
二人の攻防は激しさを増していく
「なんで、俺の相手をする?」
霜月は攻撃を仕掛け乍ら、Aに言った
「………」
「お前が、八絃さんの相手をするのが、一応筋ってもんじゃねぇのかよ」
「私は、此処に『恩人と友人を助ける為に来た』…ケリをつけに来た訳じゃない」
攻撃を避け、Aは言う
「俺がそう言うの一番嫌いだって判ってて、そんなこと云ってんのか手前」
「は?」
「手前は人の為に動くような奴じゃねぇだろ 何を企んでる?」
「それを喋る怒阿呆が何処にいる」
Aは笑みを浮かべてそう言うと、床を強く蹴った
音も無く霜月に近付き、回し蹴りを放つ
パシッ
「!?」
霜月はAの蹴りを受け止め、脚を掴んでいた
「クッ……」
Aは霜月の手から逃れようと動くが、脚は離れない
「…ウゼェ」
グッ
霜月は、Aの脚を掴んでいる手に力を入れた
「!…アア"ッ!!」
痛みで顔が歪む
その瞬間、霜月の拳が迫っているのをAの眼は捉えた
「…!!」
ガァン
Aはその威力で壁まで吹き飛ばされた
「…クッ……カハッ」
「異能を使わねぇのか?」
吹き飛ばされたAに霜月は問う
「……使う必要がない」
「随分と嘗めてくれるな」
「…お前の前では、異能など意味無いだろう」
「ハッ…まあな
ただ単に、お前が使いたくないってだけだろうけどな」
霜月がそう言うと、Aは体に走る痛みを無視して立ち上がった
「?」
「…私は、彼の人の目的が達成されるまで、死ぬ訳にはいかない」
そう言ったAの脳裏に、恩人であり友人でもある露西亜人の男の姿が浮かんだ
「あ"?」
「お前達の未来を予言する
『お前達は、私達に無様に負ける』」
「ンだと手前!」
「私は、目的の為なら手段を選ばない
利用出来るものは最大限利用する
ーーーーー傀儡師の策を嘗めるな、化狐!!」
「それは此方の台詞だ、女狐!!」
空気が張り詰める
霜月とAの拳に力が入る
二人は同時に駆け出した
25人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朱鷺の砂 x他1人 | 作成日時:2019年8月1日 22時