如月と水無月 ページ14
「ああ…やっぱり、バレてたのか」
笑みを浮かべて、Aは言う
「随分と余裕そうだな」
八絃はAの態度を見て言った
「そっちが云う?」
Aはそう言い返した
「今まで、気付いていて何も云わなかったくせに」
「フンッ」
Aの言葉に八絃は鼻で笑った
「…… “十二針„ 」
「?」
「それにお前を…否、お前達を入れてやったというのに……恩を仇で返す心算か?」
八絃はAと水無月にそう言った
「フフフフッ」
「ククッ…」
その言葉に二人は笑った
「「「「「!」」」」」
「 “十二針„ …確かにその地位を貴方から貰ってから、この組織内での立ち回りは変わりました」
「私と水無月の罪を検事局に渡せば、マフィア幹部なんて非ではない程だ」
「何が云いたい?」
八絃がAに聞く
「今此処で私がこの組織の秘密を凡て暴露すれば……それらは特務課や探偵社、マフィアにリークされる
そして、この私の心臓が止まった瞬間、世界中の異能機関にお前達の情報凡て露見されるよう手を打ってある
そうなれば、お前達はどうなる?」
不敵な笑み 青い瞳は、実の父親を嘲笑うように射抜く
「矢張り、貴女には “如月„ の名が似合う」
アルベールの言葉にAは笑みを崩さない
「巫山戯てんじゃ…!!」
霜月は途中で言葉を止めた
隣に立つ八絃は、笑みを浮かべていた
Aとよく似ている不敵な笑み
場を凍らせる冷気と殺気が漏れ出ている
それは味方を黙らせる
「云い忘れたけど……私、寒いのは嫌いなんだ」
「貴方がAさんを殺したい理由は判ります
まあ、私はそれに加担していますがね…」
水無月も言った
ガスマスクで隠れた顔で唯一露出している左目は、笑っている
恐らく、口元に不敵な笑みを浮かべているのだろう
二人は臆していない
八絃一也という男の殺気に、霜月達でさえ怯んでしまうのに対し、この二人はまるで、それに慣れているようだった
「あーあー……怯んじゃって」
「まぁ、貴女が居なくなってから、八絃さんがここまで怒りを現したことはありませんから……慣れていないのも当然です」
二人はこの調子だ
「お前等…!!」
「二人とも此処から生きて出られると思わないで!!」
霜月やヴァネガットは怒りを露にする
「先刻も云ったでしょ?
私達は、策も無く乗り込んで来るような馬鹿じゃないって」
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作者名:朱鷺の砂 x他1人 | 作成日時:2019年8月1日 22時