【文豪ストレイドッグス】地下組織の変わり者 ＜０．５＞

☆番外編　【チェス】 ページ7

『死の家の鼠』の潜窟(アジト)のある一室
そこでは、『死の家の鼠』の頭目であるドストエフスキーと構成員であるAが雑談をしながら、チェスをしていた

「それで、次の仕事ですが……」

ドストエフスキーは、そう言ってチェスの駒を動かした
その一手に、Aは眉間に皺を寄せた

「ヨコハマの裏組織である『ポートマフィア』に潜入して、情報を探ってもらいます」

「ポートマフィア？……頭目が態と捕まって、情報を手に入れたのに？」

Aは、そう言ってチェスの駒を動かす

「はい…僕が集めたのは、『マフィア構成員の異能リスト』だけですから」

「じゃあ、他に何の情報が必要なの？」

Aがそう聞くとドストエフスキーは、チェスの駒を動かし

「『情報』というよりは、構成員達を直に見てきて欲しいんです」

そう言った

「つまり、どんな時に隙を見せるのか……とか、紙媒体とかじゃ判らないことを調べろってこと？」

「はい…潜入なら、貴女の得意分野でしょう」

「まぁ…楽しそうだからいいけど」

Aは、そう言うとチェスの駒を動かした

「チェック…ですか」

Aの一手に、ドストエフスキーはそう呟いた
チェスの盤面は、Aのほうが幾分か優勢に見える

「……」

ドストエフスキーは、ほんの少し(約３秒)考えた素振りを見せ駒を動かした

「……潜入するのはいいけど、期間はどれくらい？」

Aは、そう言って駒を動かした

「次の作戦を開始するまでです」

「それじゃあ何時も通り、随時報告を？」

「バレないようにお願いしますね」

ドストエフスキーは、そう言いながら駒を動かした

「……」

Aの目が微かに見開かれた
盤上は、先刻とは打って変わってドストエフスキーが優勢になっている
ドストエフスキーは、静かに紅茶を飲む

「……頭目…」

「…何ですか？」

「真逆とは思うけど、最初からこれをやるために態と私にあの一手を打たせたの？」

Aがそう言うと

「ええ…この勝ち方はしたことなかったので」

ドストエフスキーは、笑みを浮かべてそう言った
盤上は、Aがどこに『キングの駒』を動かしても、負けるという状況

「また新しい勝ち方？…毎回勝ち方変えるの凄いね…逆に」

「これで、何連敗ですか？」

「……確か、５０敗…今日は勝てると思ったのに……」

Aは、そう言って紅茶を飲む

「次は、勝てるように頑張ってくださいね」

「頭目の思考を理解することは出来ないって言われたから無理」

紅茶の香りが部屋に漂う

☆番外編 黒い天使さんリクエスト3→←〃

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