【文豪ストレイドッグス】地下組織の変わり者 ＜０．５＞

別の意味 ページ29

「それより、良いの？
このままだと皆、精神的に殺られるよ」

Aが鷹岡の訓練を受ける生徒達を見てそう言った

「………」

「烏間先生、同じ体育教師として、彼の教育(やり方)を否定してください」

無言の烏間に、殺せんせーがそう言った

「……私個人としては、烏間さんの授業の方が良いと思うよ」

Aが生徒達から目を離さずにそう言った

「！」

「だって、本気では無いとはいえ、体術であそこまで私を焦らせる生身の人間(･････)はなかなか居ませんから」

口元に笑みを浮かべ、Aはそう言った

すると、鷹岡が一人の生徒に拳を振り上げた

「出番だね………烏間先生？」

口角を上げたままのAがそう言い終わった頃には既に、烏間は鷹岡の拳を止めていた

「………」

烏間が行ったことで、今、この場にはAと殺せんせーしかいない

「……十六夜さん」

「Aで良いよ」

「Aさん……貴女は何者ですか？」

「云った筈だよ…情報屋だってね」

Aがそう言うと

「いいえ……貴女は先刻、烏間先生に『私を焦らせる生身の人間はなかなかいない』と言いました……
生身の人間(･････)というのは、どういう意味ですか？」

殺せんせーは真剣な声色でそう言った

「そのままの意味で捉えてくれて良いけど？」

「つまり貴女は、唯の人間ではない、と？」

「そうだね………でも、釈明しておくと、私は貴方とは別の意味(････)で生身の人間じゃない」

「別の意味？」

殺せんせーがAに聞き返した

「ﾌﾌｯ……流石に、それ以上喋る気はないよ……話すとしたら、貴方が地球を滅ぼすその瞬間かな」

口角を上げたAはそう言うと立ち上がって校庭へと再び階段を降りて行った

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