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異能を取り戻すのは… ページ43

崩壊した骸砦の跡地に恍惚とした笑みを浮かべ、赤い結晶を額に輝かせた澁澤が立っている

「澁澤龍彦だな?」

無造作な音を立て、研いだ刃のように鋭い声で澁澤に問うた芥川
澁澤の応えを待たず、芥川は羅生門を呼び出す

「天魔纏鎧ーーーーー!」

黒布が芥川の全身を覆い隠す
芥川の最強の姿

「ほう?…君達も異能者か
この霧の中で、生き残っている者がまだいたとは」

「君達?」

澁澤の言葉に芥川が振り向くと、すぐ後ろに鏡花が立っていた

「何故来た?」

「私は、あの人に光の世界にいてほしいだけ」

鏡花は、淡々とそう応える
鏡花の言葉に一切の虚飾がない

「あの男は私がやる……夜叉白雪!」

覚悟を決めた目で澁澤を睨み据え、鏡花が叫ぶ
芥川と鏡花、羅生門と夜叉白雪
二人が持つ二人の異能を見た澁澤は、喜色を露にした

「素晴らしい……自分の異能を取り戻す者が、二人もいたとは!」

「異能を取り戻すのは私達だけじゃない」

そう断言した鏡花に、澁澤が目を細める
実際、鏡花には確信があった

ーーーーーこのヨコハマの異能力者達が、そう容易く屈服するはずないーーーーーと





探偵社、ポートマフィアの長もまた、自身の異能と闘っていた
二人は、自身の異能と闘い乍、言葉を交わす

「奇遇だな、森医師」

「なにかトラブルですかな、福沢殿?」

「その解決策の糸口が、いま垣間見えたところだ」

「それは重畳
やはりこういう時は、日頃の行いが物を云うのでしょうな」

二人は、背中合わせで意図のやり取りをし、自身の異能が襲い掛かってきた瞬間
二人は互いの体を入れ換え、互いの異能にある結晶体を破壊した

「ああ……本物のエリスちゃんだ」

「いずれにしろ、あやかしに思えるがな」

異能が主のもとへと戻っているのは明らかだった





龍の力を持つ澁澤に、芥川と鏡花は二人で立ち向かっていた
だが、芥川の仕掛けた攻撃は澁澤の体を通り抜けた
実体が無い

「!?」

「私は既に死を通過している……既に死んでいる者を、どうやって殺す?」

言葉と同時に、澁澤は芥川を蹴り飛ばす
芥川の攻撃は当たらず、澁澤の攻撃は当たる
澁澤は、理不尽な存在に成り果てていた

芥川に代わり、夜叉白雪が飛び出す
夜叉白雪と澁澤が激突する
白刃は空気を掠め、澁澤に叩き折られる

力も異能も澁澤には敵わない
それでも、芥川と鏡花に諦めるという選択肢は存在しない

白虎→←赤い霧



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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時

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