20 あたたかい手 ページ20
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子供の頃に母親がやってくれたのと同じおまじないを口にしながら
すりすりと足を撫でる手は部屋着越しでも温かかった。
「大野さん、手、あったかいね」
「・・・そ？」
「うん」
平熱が低いのと末端冷え性の私の手足は季節を問わずいつも冷たいと言われる。
・・・言われていた。
「ふふ。手があったかいと心は冷たいらしいよ？」
「よく言いますよね、それ(笑)」
だったら、手が冷たい私は心があったかい？
ううん。それは違う・・な。
本当に心があったかい人間なら、あんなにスッパリ割り切って別れるなんて出来ない筈でしょ？
『そういうところも好きだったけど、いざそうされると悲しいもんだな・・』
あんな台詞を残される事も無かった筈・・・。
「・・・そんなの、嘘ですよ(笑)」
「・・・・そうかな？」
「・・・」
てっきり肯定の返事が返るものだと思っていたのに、聞こえてきたのは硬い声と否定の言葉。
言葉に詰まる。
温かい手を持つあなたは、何を抱えているの・・・？
私に聞く権利は無い。
それでも彼の『飼い主』として、傷ついた心を癒してあげたいと思うくらいは・・いいのかな・・
そっと彼の指先に自分の指先を触れさせると、一瞬ピクンと震えた手が私の指先を握り込んできた。
「つめてー手だな(笑)」
「・・冷え性、なの、で・・・」
身体は寒くないけれど、出す声が震えてしまうのは仕方がない事。
「ふふ・・」
温かい指先で私の手を撫でながら大野さんが笑う。
「なに・・？」
「んー・・・さっきの話、やっぱその通りだなって思って(笑)」
「さっきの、って・・・」
手が温かい人は、という話だろうか。
「ねむりやさんの手ぇ、冷たいじゃん。だからね」
「・・・」
その言葉に、私はやっぱり何も言えなくなる。
彼はそう感じてないだろうけど、私はこの数ヶ月確かに彼に癒されてきたから
手の温かい人は・・・なんて逸話は嘘だと言ったけれど。
彼が私の手の冷たさを感じてその逸話を肯定するなんて。
「俺はね、ねむりやさんのおかげで息すんのが楽になったよ」
優しくしてもらったからね、と笑う彼はその間もずっと私の手を撫でていて
その温かさに冷たかった指先が少しだけ熱を持った。
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seiran(プロフ) - nemuさん» nemu様。こんなにご無沙汰にしていたのにまた読んで頂けてとても嬉しいです(T^T)ありがとうございます!! (2021年4月1日 1時) (
レス) id: ca27f5ec67 (このIDを非表示/違反報告)
nemu(プロフ) - seiranさん、ご無沙汰しています。お話更新して頂けて本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年3月30日 22時) (レス) id: c40904f8f1 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - Fu--chanさん» 年単位のご無沙汰での更新でした。こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！ (2021年3月29日 0時) (レス) id: c5223b7e79 (このIDを非表示/違反報告)
Fu--chan(プロフ) - 更新ありがとうございます。 (2021年3月28日 23時) (レス) id: ad6226cb15 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - nemuさん» こっそりでもいいので(笑)お付き合い頂けたら嬉しいです（＾＾） (2019年3月23日 18時) (レス) id: ace4cd6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青藍(せいらん)
作成日時：2017年4月13日 9時
