６ 寝つきのいい猫 ページ6
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「おねーさんはさあ、何もかも嫌になる瞬間ってある？」
私の座っているソファの肘掛に腰を下ろした彼は
生乾きの髪をさっきと同じようにガシガシ拭きながら言った。
何もかも嫌になる瞬間？
・・・そんなの。
「あるに決まってるでしょう？」
答えると、一瞬止まった彼が
「そっか・・・」
と息だけで笑った。
そんなのね、何回もあるよ。
「・・・お風呂代替わりに愚痴聞いてもらえます？」
「重そうだね？」
「そうですね。超重いと思います(笑)」
それこそ、何もかも嫌になるくらいの事。
彼はふっと笑って、でも「いーよ」と言いながら頭からタオルを取った。
そして。
「ちょ・・っ！？」
「でも、ちょっと寒いから膝貸して」
突然ソファに座り、ごろんと転がったかと思えば私の太ももに頭を乗せた。
「猫ですか・・・」
と文句を言いつつ背もたれに置いてあったブランケットを掛けてあげる私は甘いんだろう。
ここで風邪引かれるのも困るし。
「・・これ、きもちーね」
「手触りで一目惚れしたんです。
ただのブランケットに諭吉さんが飛びましたよ」
あの人がいなくなって、広いベッドに一人で寝るのが嫌で一時期ソファで寝起きしていた。
けれど、掛けた毛布からもあの人の匂いがして数日泣いて
忘れる為に新しい毛布をと出かけた時に見つけたのがこれ。
シングルの毛布と同じサイズのそれは厚手で、でも軽くて温かくて、なにより手触りが最高で。
それに包まった大野さんは気持ち良さそうに目を閉じ
「眠屋さんだっけ・・？ ぴったりだ・・(笑)」
そんな事を言った。
「それただの名字だし。
これで商売はしてませんよ？」
「んふふ・・・寝そう・・・」
「ちょっと」
さすがに泊めるとは言ってないんですけど。
と言う前に聞こえてきた寝息。
なんて寝付きがいいの。
乾いてきた髪をそっと撫でてみればそれはふわりと柔らかくて
「愚痴聞いてくれるって言ったのに」
指を入れて梳いても彼は起きない。
「ホントに猫みたい・・・」
穏やかな寝顔を見ていると、一人でいたこの部屋では感じた事の無い
安らぎのようなものを感じた。
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seiran(プロフ) - nemuさん» nemu様。こんなにご無沙汰にしていたのにまた読んで頂けてとても嬉しいです(T^T)ありがとうございます!! (2021年4月1日 1時) (
レス) id: ca27f5ec67 (このIDを非表示/違反報告)
nemu(プロフ) - seiranさん、ご無沙汰しています。お話更新して頂けて本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年3月30日 22時) (レス) id: c40904f8f1 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - Fu--chanさん» 年単位のご無沙汰での更新でした。こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！ (2021年3月29日 0時) (レス) id: c5223b7e79 (このIDを非表示/違反報告)
Fu--chan(プロフ) - 更新ありがとうございます。 (2021年3月28日 23時) (レス) id: ad6226cb15 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - nemuさん» こっそりでもいいので(笑)お付き合い頂けたら嬉しいです（＾＾） (2019年3月23日 18時) (レス) id: ace4cd6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青藍(せいらん)
作成日時：2017年4月13日 9時
