28.オムライス ページ28
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「ねえ。」
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「ねえ、ってば。」
「……んぅ…」
「大丈夫？
すんごいうなされてたけど。」
絶望で真っ暗な世界から現実の世界に呼び戻してくれたのは、仕事から帰ってきたノニさんだった。
「あ…、私…。
寝ちゃったんだ…。
ノニさん、ごめんなさい。
大丈夫なんで。
すぐにご飯の用意しますね……」
「ん。」
どうやら本を読みながらソファで寝てしまったらしい。
だるい身体を起こしてキッチンに立てば私の替わりに今度はノニさんがソファに倒れこんだ。
1時半過ぎの帰宅。
そりゃ疲れてるよね。
「遅くまでお疲れ様です。」
「ホント。働くばかりでお金を使う時間がないから貯まってしょうがない。」
「それなら罰金チャラにしてくださいよ。」
「は？甘ったれたこと言ってんじゃないよ！
早く返さないと利息がどんどん増えてくからね。」
「そ、そんなぁ…！」
私が不服を唱えるとソファに伏せてた顔を上げてパチコーン☆と綺麗なウィンクを飛ばしてきた。
「ゔっ……！？」
な、に…？
今の？
すっごい眩しかった。
ノニさんの性格は少し変わってるけどそれを補えるほど顔はいい。
悔しいけど様になってる。
おかげでこれ以上異議申立てできなくなった。
「どうぞ、リクエストのオムライスです。」
「どーも。」
キッチン前のカウンターにオムライスの載った皿を置くとソファから移動して手を合わせて食べ始めた。
ひと口。
ふた口。
ゆっくりと。
「どう…ですか？」
「うん。美味い。」
返事に困るような質問に気を使ったような当たり障りのない返事。
そしてオムライスを食べるペースで分かる。
ノニさんのお口に合わなかったか…。
フライパンを洗いながら隠れて落ち込む。
「ごちそうさまでした。」
「あ…はい、え？」
「なに？」
「完食ですか？」
無理やり食べてたはずなのに綺麗に食べられた後のお皿。
「ありがとう。美味かったよ。」
「……。」
眉毛を下げて両端の口角はむきゅっと上げる。
柔らかいその笑顔にズキューン！！
さっきまで意地悪言って私をからかってたのに…、
この人、振り幅すごい！！
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年11月27日 18時
