11.BALLERINE ページ11
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「てことで、とりあえず。
そのぐしゃぐしゃな身体、洗ってきなよ。」
「ホントすみません。」
「それからご飯ね。
お腹空いてるでしょ？」
「はいっ！ペッコペコです！！」
ご飯って言葉に目がキラーン☆
「ふはっ！
それでよく人を信じないとか言うね？」
「今は櫻井さんを頼るしかないので。」
「毒を盛ってるかも？」
「ひぇっ！？」
「睡眠薬入りかも？」
「ひぇぇぇぇぇっ！！？？」
「何で毒より睡眠薬の方がリアクション大きいんだよ？
ナニ期待してんの？」
何、期待、してる、って……！
や、やっぱりメイドって…っ！
そういうことも………っ！？
かぁぁっ！と顔が赤くなっていく。
それを見て笑う櫻井さん。
「着替えは？」
「あっ、ありますっ！！
それだけはっ、ちゃんとっっ！！」
唯一私に残されたキャリーケースをガッと引き寄せバンバン叩く。
ここ！ここにあるから！って。
「変な勘違いしてないで、部屋出て玄関近くの右の扉が風呂場だから。さっさと行く！」
「承知いたしました！」
恥ずかしさの余り秒で部屋を出て脱衣所に逃げ込んだ。
勘違いか。
そうか、良かった。
「ふぅー…。
何て変なこと口走っちゃったんだろ。」
シャワーを浴びて汚れも恥も色々と洗い流そう。
そう思い、
泥と雨にまみれた服を脱ぎ
ブラのホックに手を掛けた時だった。
「…これ……って、」
目に入ってきたのは
洗面台の鏡の前に置かれた銀色の輪。
元・婚約者とお店に見に行ったことがあるからわかる。
見たことのあるカルティエのデザイン。
これは結婚指輪であるバレリーナ。
櫻井さん…、
もしかして……？
イケナイ、と思いつつ
その指輪に手を伸ばした。
その瞬間、
「翔ちゃーん。
インターホン押したけど出ないから合鍵で入ったよ…
て、アンタ、誰！？」
突然脱衣所のドアが開けられ
櫻井さんではない男性が
下着姿の私の前に立ちはだかった。
ああ、
今日はきっと厄日。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年11月27日 18時
