07.そ ページ7
ぐふぅ…っ！
悪役が様になってる！
被疑者の癖にっ！
やっぱり雑念が。
「桃島、もういいよ。
ここからは俺がやる。」
「櫻井警部…、すみません。
力不足で。」
あと雑念だらけで。
櫻井警部はMJの横に立ちネクタイを緩めながら
ゆっくりとした口調で尋問を始めた。
「ケースの中身は時間の問題だからまぁ、いい。
コードネームITってやつの話を聞かせてくれないか？」
コードネームIT。
MJと同じく今回の密輸に関わってた男。
だけど今回はMJしか現場にいなかったので消息は不明。
「そいつが黒幕なのか？
それともお前？」
「…。」
「なぁ、どっちかなんだろ？」
冷たく見下ろす櫻井警部に
雑念雑念雑念もはや邪念がっ！
「…ふふ、あはっ、あはははっ！！」
「何がおかしいの？」
「いや、あんたらのその視野の狭さじゃあ
あの方は捕まるワケないと思って。」
私たちを嘲笑うかのように吐き捨てた言葉に
血の気の多い私はムキっときちゃって。
バンッと机を叩いて立ち上がる。
くっく…と笑いを止めないMJに
今度はバァンッと私の2倍くらいの音で机が叩かれて
櫻井警部が胸ぐらを掴んだ。
「…その減らず口、2度と叩けねぇようにしてやろうか？」
元々低い櫻井警部のドスの効いた声に
MJも私もゴクリと息を呑んだ。
あ、もちろん私は違う意味で。
と、そこに…
「ロコモコ丼、買ってきたよー！」
タイミングの悪いコナンが帰ってきた。
.
今日の取り調べは終わり。
あー、疲れた。
廊下を歩きながら
今回の捜査について頭の中でおさらいをした。
まず密輸組織が何を密輸しているかは謎。
押収物はBlu-rayのケース唯一つ。
組織の幹部にはMJとITがいるということ。
そしてこの組織のボスとやらは謎。
…謎しかないじゃん。
大丈夫なの？
このヤマ。
腕を組んでハァーっとため息を吐くと
ちょうど廊下の前を二宮と
鑑識で私の同期の大野が歩いて行くのが見えた。
何してんだろ？
2人して。
黙って追いかけると
別件で押収された物を保管している部屋へ入って行く。
そぉーっとその部屋を覗くと真剣な眼差しで話している2人が。
二宮ってば…
ちゃんと仕事してるんじゃん。
感心、感心。
やる気ない彼氏が仕事を真面目にしているところを見てホッと一安心
…したのも束の間。
よくよく見たら2人が真剣な眼差しを送っている押収物は
下着ドロボーから押収した女性用の下着の山だった。
あんたら……っ！
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年5月25日 23時
