04.着 ページ4
しばらく3人で待ってると
また他の捜査官から連絡が入った。
『桃島、そっちはどうだ？』
「こちらは何の動きもありません。」
『そうか…、』
電話の向こう側も特に何もない様子で
この後どれくらい待機すればいいのか櫻井警部に訊こうとした
その時。
「あ…っ！
待ってください！！
き、来ました！
ヤツです！
今、コードネームMJの姿を確認しました！」
捜査会議でホワイトボードに貼られた写真の男を発見。
謎の密輸組織のメンバーである
本名・正体不明、コードネームMJと呼ばれる男が姿を現した。
『本当か！？すぐ行く！』
「こちら櫻井。
そっちは待て、だ。
その場から動くな、気付かれる。」
『え？櫻井警部ですか？
わ、分かりました。』
私の手ごと掴んでいた電話を切る櫻井警部。
どんな時でも冷静な判断が出来て
そしてサラッと女性の手を掴むとか
さそがしモテるだろうなー。
あ、捜査中なのに雑念が。
いかんいかん、
捜査モード・ON！
獲物を狙う鷹の様に被疑者を凝視する。
あ、被疑者もすこぶるイケメンだ。
またも雑念が邪魔をする。
「よし、回り込んで捕まえよう。
俺が先陣を切るから
桃島と二宮はサポートしてくれるか？」
「も、勿論です！！」
「ええー…？」
「じゃあ、被疑者確保、行くぞ？」
「ハイッ！！」
「やだよ。1人でやってろ…。」
「3…、2…、1…っ、」
カウントダウン終了と同時に走り出した櫻井警部。
それに続こうとした瞬間、
「待って先輩。」
「なっ、に！？」
二宮の左手がガシッと私の手首を掴んで制止する。
「違う、コッチ。」
「何言ってんのよ！？
櫻井警部行っちゃったじゃない！？」
「あの人の刑事の勘ってやつはハズレ。
いいからコッチ来いや！」
そして強引に私を引っ張りながら誘導する。
さっきは私の後ろで弱音吐いてたくせに…
全力で私の手を掴んで走ってる二宮の背中は頼もしくて、
捜査中なのに胸が高鳴る。
ああ、結局私は雑念だらけ。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年5月25日 23時
