25.し ページ25
見たこともないその冷たい顔に
少し怖気付く。
いやもう逃げ出したいくらい。
これから告げる真実から。
だけど…、
私がやらなきゃ。
捕まえることができる悪を見過ごすなんて
私の中の正義が絶対に許さないから。
もう一度拳をグッと握って自分を奮い立たせる。
「おかしいんです。
あの時…MJを追いかけてた時。」
「…。」
「あの場所に、櫻井警部が現れましたよね？」
「それの何がおかしいって言うの？」
「おかしいんですよ。
捜査の指揮官である櫻井警部があの現場にいるなんて。
あの時は捜査に熱心だと思っただけでしたけど普通に考えたらそんな事しません。
だって警部は私たち刑事を動かす指揮官なんですから。
普通、司令塔は最前線とは別のとこにあります。」
心臓がビクビクする。
言ってしまった。
確信的なことを。
でも、まだまだ。
頑張れ私！
「ITの時もそうです。
私たち下の刑事を動かせばいいものを自ら率先して捜査に出掛けた。
今思えばITが潜入捜査官だったのを知っていて撃とうとした。
どう考えてもおかしいんですよ。」
「……。」
「それにあの時、警部はわざとMJから私たちを離すような指示をしましたよね？
二宮が機転を利かせて回り込んだから捕まえることが出来ましたけど…
本当は逃すつもりか、それともITのように…」
「なぁ。」
もっと踏み込もうとした時、
櫻井警部が私の言葉を遮る。
聞いたこともない低くて鋭い声色が。
「いつ気づいた？」
「え…？」
私が警部の方に顔を向けると
カチャリ…という音とともに
私の眉間には冷たい銃口が当てられていた。
私たちが捜査で使う銃はオートマチック式の新しいタイプの拳銃だ。
でも今警部が私に向けているそれは
リボルバー式のマグナムM19。
日本の警察が使用しているものでは、ない。
ああ、警部…
やっぱり貴方が…
「俺が怪しいって
いつ気づいたかって訊いてんの。」
冷たい銃口をぐいっと押して
答えを要求するのは
私の知らないサクライショウという人。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3025人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年5月25日 23時
