13.さ ページ13
「おじさん、
昔ながらのコロッケ２つ下さい。」
「はいよー、そのまま食べるかい？」
「もちろん。」
渡されたアッツアツなコロッケを
「熱いから気をつけろよ。」って手渡してくれた警部。
優しいなー。
これが二宮だったら…
『こんなハイカロリーな揚げ物が食べたいの？
それって豚になりたいってことだよね？
ほら、ブヒブヒ言いなさいよ？
そしたら食べさせてやるよ？』
そう罵ってアッツアツなコロッケを口にグリグリしてくるのが容易に想像つく。
そしてそれを喜んでしまう私も。
「ぅんまいっ！！
これ超美味いよ、桃島。」
「ブッ、ブヒっ！」
「は？ブヒ？」
二宮の妄想をしてた私は
突然呼ばれてその妄想を引きずったまま返事をしてしまった。
「っははは！
桃島ってさ、周りの男からは取っつきにくいって聞いてたけど全然面白いヤツだよな？」
「警部ー…、それ褒めてないですよ。」
「え？そう？
俺は褒めてるつもり。」
ほらね。
やっぱり女として見られてないんだ。
ま、いいですけどね。
ぱくっとコロッケを食べると
本当に美味しくて感動で震えた。
ブタ、万歳っ！
「って、あれ！？」
「どうした？おかわり？」
「違います！
警部、アレ…！」
「…あ、あいつ、IT！？」
コロッケ屋さんの前で堂々とコロッケを食べていたら
大きなダンボールを抱えたITが下着屋さんから出てきた。
よりによってこんな、隠れてない時に！
「ど、どうします警部！？」
「どうもこうも俺ら向こうから丸見えだし…、
あっ！」
その時。
予想外の展開に混乱していた櫻井警部と
ITの目がバチっと合った。
「ク、クソッ！！」
そしてダンボールを投げ捨て走り出したIT。
「待てぇー！！」
同時に私も
二宮から貰ったお守りを握りしめながら
全力でITを追いかけた。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年5月25日 23時
