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櫻井警部と本庁を出る前に
二宮が喫煙ルームへ来いと私を呼び出した。
「なに？二宮。」
「んー？
俺ね、櫻井警部が苦手なの。」
でしょうね。
苦手っていうか
もはや嫌いオーラ出てますから。
でも、そんなこと今言われても、ねぇ…。
「そんな奴と
ベッドの中では従順なAさんを2人きりで送り出すワタシの身にもなってくれる？」
「ごめん…。
いや、なんか言い方にヤラシイ表現が含まれてるけど、なんかごめん。」
「でも仕事だからね？
仕事真面目なAさんは行くんでしょ？」
「そう。仕事だから、ね。」
「じゃあ、はいコレ持ってって。」
「なに？」
二宮の丸っこい手から渡されたのは黄色い小さなお守り。
「警察官ってやつはいつだって死と隣り合わせだもんね。
ましてや相手は密輸組織のメンバー。
無事に帰ってきてよ？」
「に、二宮ぁ…。」
きゅーん！って胸がいう。
このツンデレがたまんないの。
これだから普段ゲスでも許せちゃう。
きっと私は二宮の手のひらでコロコロ転がされてるんだ。
きゅんきゅん。
「無事に帰ってきて今日もベッドの中でキャンキャン言わせてね？」
「……。」
ゲスからのキュンからの結局ゲス。
やっぱりコロコロコロコロ転がる。
それでも私の身を案じてくれる優しさに免じて
今のは聞かなかったことにしよう。
「二宮、ありがとう。
それじゃあ行ってくるね？」
「うん。
あ、でも一つだけお願い。」
「なに？」
「ほっぺにチューしてよ？」
「はっ！？今、ここで！？」
「そ。
すりガラスで外からは見えないし。」
「ゔーん…」
「ほら、早くぅ。」
「分かったわよ！」
んちゅっ！
「んっ！？」
一瞬だけ二宮の頬に私の唇が触れれば
そのまま二宮の唇が滑り込んできて
結局、熱烈なキスに変わる。
あーあ。
私もやっぱりただのオンナなんだな。
職場でこっそりキスして喜んじゃうなんて。
ちゅぱっ…と音を立てて離された唇が火照ってる。
「ふふっ、
やっぱり可愛いよ、Aさんは。」
「…ゃめてよ。」
柄にもなく
頬を赤く染めて目線を下に逸らした、ら……
「ぎえっ！！！？」
「みぃーーーーちゃった♡」
スモークカウンターの影に座り身を隠していた大野がニヤニヤしていた。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年5月25日 23時
